ドドドドドドドド……。
なんや、えらい地響きがすんなぁ。
地震か?怪獣か?



答えは怪獣に近かった。



「いよっす、元気にしてたかぁ?」
「桜花!?何でこんなトコにおんねん!」


従兄妹の桜花がえらい勢いでテニスコートまで来た。


「侑士、誰だよこいつ」
「忍足先輩の彼女…ですか?」
「アーン?忍足に彼女だと?」


いっきに視線が桜花の方にいった。
いや、彼女なんかあらへんて!
俺はもっとしとやかな女の子が好みや!
ってそんなことどうでもええ!


「侑士〜、まだ女の子の脚追っかけてんの?」
「いきなりの質問がこれかい」
「だって、大阪に居った頃も、飽きへん変態加減やったやん」
「それ絶対褒め言葉ちゃうやろ」
「誰も褒め言葉やなんて言うてないやん〜」


ごっつムカツクわこいつ…!


「忍足、誰なんだよ」
「ん?そこの帽子クン。もしかして宍戸?」
「あ?…そうだぜ」
「侑士から聞いとるでぇ?エロ被りしとるくせにめっちゃ純情やってな!」


何言うてんの!?
それ初っ端から言うことちゃうやろ!?


「アーン?宍戸、そんなこと言われてたのかよ」
「アーン…?あぁ!アンタが跡部クンやな!」
「俺様のことも知ってるのか」
「うん!侑士が、アンアンばっか言うて最近喘いどるように聞こえる言うとった!」


やから言うなーーー!
跡部、めっちゃピリピリした顔で睨んできとるやん!


「…跡部さん、そんなふうに言われてたんですか」
「あ!あんたは日吉くんやな?」
「……そうですが…」
「一度見たかってん!きのこヘアー!」


それ禁句やてーーー!!
笑いながら指差すとか至上にあかんことや!


「へぇ…。結構面白いこと言ってるんですね、忍足さん」


他人事やと思て…!


「俺のことは何か言ってましたか?」
「え〜っとな、鳳クンやろ?宍戸クンにつきまとってるワンコ言うとったなぁ」


それ以上言わんでくれ!桜花!


「へぇ…。そうなんですか……」


俺の命が危ない!


「クソクソ侑士!皆のことそんな風に言ってたのかよ!」


がっくん!
誤解せんといて!


「あんた、岳人やろ?」
「……ああ、そうだけど…」


岳人、何言われるのか思て、めっちゃ引いとるやん……!


「ちっちゃくてホンマ女の子みたいやなぁ?侑士が女装させたい言うとったよ?」


NOOOOO!


「「「………」」」


あかん!
皆の視線が痛い…痛すぎるわ……!


「……それで、お前は何しに来たんだよ?」
「ウチな、侑士が言うとったテニス部員が見たかっただけやねん!ホンマ、個性溢れとんなぁ」


そんな個性、いちいち言わんでええやん…!


「それじゃ、ウチ、すぐ帰らなあかんねん。ほな、またなぁ〜!」


たったこれだけのことで来るなや……!


「また来るなぁ〜!」



もう来んでええから!
いきなりの暴走機関車はすぐに帰っていった。





「あれ?ぬりかべクンと金髪子羊ちゃんと43に会うてないなぁ」


さて、誰の事か分かるかな?
一人はそのまんまですけどね。





ちょ、残された俺はどうなんねん!
桜花ーーー!帰るなボケーーー!!


「……で、俺たちのこと、ああ言ってたんだってな」


…どうしよ。
後ろから殺気が……。


「……忍足、俺様が喘いでるだと?」


そう聞こえるってだけやん!


「……言いましたね、俺に対しての禁句ワード」


言われたなかったらその髪型直しや!


「俺のこと、宍戸さんのストーカーって思ってたんですね」


誰もそんなこと言うてない!


「クソクソ侑士!もうパートナーなんて止めてやるからな!」


っがっくんーーー!!


「……やれ、樺地」
「ウス」


居ったんか樺地ーーー!


「………悪いのは……貴方……です」


かばずぃーーー!!


「うぎゃあああああ!」




その日から1週間、誰も忍足の姿を見なかった。





関西娘暴走!
(俺への嫌がらせかっ?そうやろ!?)