「ふんふんふ〜ん」
「桜花、何かご機嫌だね〜」
「分かるぅ?ジロちゃん」
「もしかして、またやってるの?」
「うふふ、あたりっ」
「桜花が楽しそうなのはいいけど〜、俺に膝枕して欲しいC〜」
「さっき終わったばっかでしょ?私はこれから楽しみがあるんだから」
「Aー、別にいいじゃんー」
「だーめ。これは私の楽しみなんだから!」
「だからって……。双眼鏡持って屋上から外見てるのは怪しいと思うよ〜」
「ここからじゃないとよく見えないのよ」
「だったらテニスコート行った方が早いC」
「あそこはだめ。バレちゃうでしょ」
「そう?」
「うふふー。さて、愛しのハニーは……」
「……何してんだよ、んなとこで」
マイハニー!?





何がハニーだこのやろう。


「何でこんな所に居るのよ!?部活は!?テニスは!?」
「今日はミーティングなんだよ…」
「ところで、その人は誰なんですか?」


横に居た長太郎が俺に聞いた。
長太郎だけじゃねぇ。
ここには、レギュラー全員揃っている。


「何で君たちまで!?」
俺が呼んだC
「ジロちゃああん!!」
「……なんや、賑やかやなぁ」
「で、誰なんだよ、そいつ」







「……俺の、姉貴だ」

「「「えぇええ!?」」」

「宍戸さんの……お姉さん……」
「どうも!」
「どうもです!これから俺がお世話になります!」
どういう意味だ、長太郎


何宣言してんだよ。


「…ちょい、待ちぃ。宍戸の姉ちゃんいうコトは、中3ちゃうやろ?」


忍足が、大事なコトに気付いた。


「そうだな。おい、説明しろ」
「……まぁ、見つかっちゃったものは仕方ないし…。私は、高校3年生!」
「「「はあぁあぁ!?」」」


……はぁ。
やべえ。
溜息が止まらねえ。


「何で高等部の奴がここに!?」
「えへ、ちょっと観察に…」
「何をだ」
「もちろん!我が愛しの亮を!」
「「「………」」」
「桜花は、週1でここに来て見てたC〜」
「…意味わからん。家で会えるやろ?」


もっともだ。


「甘いわ、キミ!家では私服の亮しか見れない!でも、学校では制服姿&部活姿が見れるじゃない!」


おいおいおい、何言ってんだよ。


「だって、亮が中学に上がる頃、私は高校に上がっちゃうのよ!?ああっ、亮と同じ時期に学校に居たかった……っ」


……そんなこと思ってたのかよ。


「それ、俺も分かります!俺も、後少しで宍戸さんが卒業しちゃって……。何を頼りに生きていけばいいのか分かりません!」


おい、そこまで考えることねぇだろ。


「そうよね!…私、キミとは気が合いそう…」
「俺も、そう思います。…俺、鳳長太郎です。これから、宍戸さんとよろしくします!」


だから、お前は何を宣言してんだ!


「私こそ、亮をお願いするわ、チョタ!」


ガシッ、と長太郎と桜花は互いの手を握り合った。
……俺には状況が全く掴めねぇ。


「……それにしても、宍戸の姉ちゃん、脚綺麗やな…」
「桜花さんをいやらしい目で見ないで下さい。忍足さん」
「!?」


……ん?
何かよくわからねぇが、忍足が倒れたぜ?


「「「(怖ぇ…。瞬殺…)」」」
「……つか、授業とかいいのかよ」
「授業?私が受けるわけないでしょ〜?あははー」


いや、笑うところじゃねぇだろ……。


「「あっはっはっは」」


いきなり桜花と長太郎が笑い始めた。
もう、わけ分かんねぇ……。


「よし、チョタ!今日は私の家においで!亮の小さい頃のアルバムとか見せてあげる!」
「本当ですか!?勿論、ついていきます!」
「おい、何勝手に……」
「ほら、亮も早く!」
「宍戸さん、今日は泊まりますね!」


誰か助けてくれ……!!


俺はその日、夜遅くまで桜花と長太郎の話につき合わされ、一睡も出来なかった。





我が愛しの…
(桜花はまだ分かるとして、長太郎は何なんだ?)