私の彼は、はっきり言ってモテる。
一目見ただけで分かる。
……だって、


「キャー!跡部様ぁー!」
「こっち向いてーー!!」


……私の彼、景吾が部活をしている時。
一球を返すごとに黄色い声援が。
………はぁ、人気がありすぎるよ…。


「なら、桜花も彼女って特権使って近くで応援すればええやん」


忍足くんに言われた。
……できればそうしたいよ。
でも、できない。
だって……あんなにギャラリーが居る中で、私が景吾の応援をしたら、どうなると思う?

今度は私にブーイングの嵐だよ。

そんなの、怖いし……。
でも、気持ちが抑えられない。
景吾は……私の彼氏なのに……。


「ほら、ついてきぃ。俺がコートの近くまで連れてったる」


私の心内なんて知らず、忍足くんは私をコートの近くまで連れてきた。
……ファンクラブらしき人たちの視線がめちゃくちゃ怖い…。


「桜花か…?珍しいな、応援に来たのか?」


そんな中休憩になり、景吾が私のところに来た。


「……う、うん…」
「アーン?何だよ、元気ねぇじゃねぇか」


私の顔を覗き込む景吾。
……それが私の元気をなくす原因だよ。
周りからの視線が段々と言葉になってきた。


「ちょっとー!跡部様に近づかないでよー!」
「そうよー!離れなさいよー!」


……私が近づいたんじゃないんだけどな。


「……あぁ、そういうことか」






何かを理解したかのように呟くと、私の顎を支えて、いきなりキスをしてきた。






「……っ!?」



本当にびっくりした。
……だって、公衆の面前で……!
私は、恥ずかしくなってすぐ後ろにあったベンチに腰を下ろした。
まだ、キスは続いている。


「信じられない……」
「跡部様が……」


周りが静かになってきた。


「っ……んは……っ」


やっと、唇が離れた。
そして、景吾はそのままフェンスの外を見て、


「これで分かったろ?こいつは俺様の女なんだよ。文句あるか?」


この言葉で、完全にギャラリーの人たちは黙った。
……本当、強引。
でも、すっごく嬉しいよ、景吾。


「…ったく、お前も、変な心配しやがって……」
「……え」


すると、私の腕を掴み、歩き始めた。


「後は勝手に練習やってろ。俺様たちは帰らせてもらう」


……え、いいの!?


「お前、どうせつまんねぇ嫉妬でもしてたんだろ?」
「つ、つまんないって……」
「今日は、んなもん吹き飛ばしてやるから、覚悟しろよ?」


……え、それって……。


「今日は帰さねぇからな、桜花」





その後、私は景吾にたっぷり愛されました。





俺様による宣言
(恥ずかしくて学校行けないよ…)