汚れてしまった私の心を
純粋かつ優しい心で満たしてくれたのは
貴方だけだった。

独りだった私を
支え、抱き締めてくれたのは
貴方だけだった。

冷え切った私の身体を
「大丈夫だ」と囁いて、ぬくもりをくれたのは
貴方だけだった。


私には
貴方が必要。
貴方以外
私は何もいらない。





……そう言うと、貴方はとてもびっくりした表情をして、こう言った。


「桜花は頑張ってる」


今では人気がすっかりと無くなってしまった屋上の、冷たいアスファルトの上で。
私と貴方、隣に座って。
貴方の肩に、もたれる私の頭。
そこから伝わるぬくもりが、温度が、私の心を熱くする。


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


今はもう冬。
風も、冷え切ってしまった。
それよりも、もっと冷たい私の指が、貴方の暖かな指に触れる。


「謝るな。前にも言ったはずだぞ」


私が悪いのに。
貴方は、本当に不機嫌そうにそう言うんだ。
その度に、私の目頭が熱くなる。
熱くなっているのに、冷たい雫が頬を伝うんだ。
その雫に気づいたのか、貴方はあたたかい指でその頬に伝うものを拭い取る。
そして、困ったように笑う。


「なに泣いてんだよ。ほんと、お前は馬鹿だな」
「………うん」


いつからこうなったんだろう。
私はただ、寂しかっただけなのに。
人肌が恋しくて、求めていただけなのに。
そして貴方は、そんな私の渇きを潤してくれただけなのに。
ずっと、ずっと。


「わかし、私…つらいよ」


また貴方を困らせないように、私は泣くのを我慢する。
自然と眉が寄る。
もう、辛くてしょうがない。
ただ好きな人と一緒に居るだけなのに、どうして周りから恨まれるのかな。
ただ、傍に居たいだけなのに、どうして周りは許してくれないのかな。


「私、わかしのことだいすきなだけなのに」


できるなら、あの頃に戻りたい。
純粋なままで居られた、子供の頃に。
跳んだり跳ねたり、笑って、怒って……「すきだ」と叫んで。
言葉の意味も判らずに、「あいしてる」と囁いて。


「このまま時が止まっちゃえば、幸せになれるかな」


この世が私と貴方、二人だけのものになればいい。
他の人なんて気にしない。
気にならない。
私たちだけで生きていける。
時計の針なんていらない。
二人で居たら、時間なんて関係ないでしょう?

でも、貴方は寂しそうに笑顔をつくって、


「俺は、いやだぜ。そうしたらお前との未来が見えなくなる」


優しく、細い指で私の髪を梳く。
それが心地よくて、思わず目を閉じる。
でもそこは貴方の居ない世界だったから、すぐに目を開けた。


「わかし、」
「ん?」
「私、若となら……辛くても平気だよ。頑張るから、だから、」


私から離れないで。
お願い。
ずっと私の傍にいてください。
言う前に、私の身体は若に包まれた。


「俺は、桜花を守る。何が何でも。……桜花が居れば、何を失っても怖くない」


ほら、また。
冷え切った私の心身を、貴方があたためてくれる。
大好きだよ。
言葉にできずに、口の形で呟いた。
愛してるから。
私は負けない。
貴方との未来を勝ち取るために。


「……愛してる、桜花。俺の傍から……離れるなよ」


そんなの当たり前だよ。
私が、貴方の傍を離れるときはそう、
私が死ぬ時だけだよ。
誓います。
私は、貴方の為に生き、貴方の為に……死にたい。

愛してる。
愛してる。

それだけは変わらずに。
ずっと貴方と、傍に居たい。
ずっと貴方と、愛を囁きたい。


ずっとあなたと、あったまってたい。





貴方の言葉は何もかも溶してゆくよ
(そのまま溶けて、消えてしまってもいい)



訳が分からないのはいつものことですが……これは酷いですね。
何か急にシリアスで暗いお話が書きたいと思ったら……こんなお話に\(^0^)/
ごめんよっ日吉!日吉の原型がいない……!
ヒロインは日吉との関係で虐められている、ということです。
何だか今にも自殺しそうな勢い……;