「若」
「何ですか」
「今日も大好きだよ」
「ああそうですか」
「軽い!返事が軽すぎる!」
「毎日毎日言われたら返事もそうなります」


だってしょうがないじゃない!
一日一日若と居る度に好き≠フ気持ちが大きくなるんだから!
その私の気持ちを若に伝えてあげると、どうでもよさげに溜息をつき、呆れたように私を見つめる。


「毎日言われるこっちの身にもなってみてください」
「おかしいなぁ。私だったら嬉しくて嬉しくてしょうがないんだけど」
「そんなの貴女だけです」


すぱっと切り捨てると、若はまた読書に戻った。


「だって、本当だよ?もし私が毎日毎日若に好きだって熱烈に言われたら幸せの絶頂だよ?」
「……俺はそんなことしません」
「じゃあ、して!」
「お断りします」


もう!
これが恋人のする会話かしら!?
若は恥ずかしがり屋さんすぎるのよ。
加えてこういうのに鈍い。


「……若は、好きって言われるの嫌い?」
「………」


答えてくれず、読書の世界に行ってしまった若。
ぶぅ、と頬を膨らませてみてもこっちを見てくれない。


「ねぇ、わかしー」
「………」
「わーかーしー」
「………」
「わーかーしーくーん!」
「っああもう煩いですね」


読書を邪魔されて相当お怒りなのか投げやりな言葉が返ってきた。


「私、若のこと世界で一番好きだよ」
「っ………」


あ、赤くなった。
可愛い……。
ぽーっと若の照れ顔を見ていると、若は目を見てはくれなかったけど、


「……そんなの、知ってますよ……」


呟いた。
全くの予想外だった。


「え、知ってる…ってことは……」
「……千鶴先輩が俺以外の事好きだったら、俺……」


おっ!
これは、良い展開じゃない!?
この調子だと、次の言葉は……っ!


「千鶴先輩の事軽蔑しますから」
「!?なっ…」
「だって、俺のこと好き好き言ってるのが嘘ってことになりますから」


………。
つまり、そっちの意味で……。
私の信用がなくなるという方向で……。
がっかりだよ!!


「あーもー……期待した私が馬鹿だった」
「……?」


そりゃそうだよね。
あの自分の感情を素直に言えない若が……。
はぁ。


「………」


落ち込んで机に伏せる私に、若はこんな言葉をかけた。


「……先輩、勘違いしてませんよね?」
「へ?」


バッと顔を上げると同時にハテナマークを浮かべると、若は溜息をついた。


「……千鶴先輩、」
「ん?」


真っ直ぐ若を見つめると、若は急に目を逸らして……というか泳がせた。


「俺……千鶴先輩のこと、自分でも信じられないくらい好きですよ」
「……っ?」


私は言葉を失ったように若を見つめたまま。
若は照れてるのか、手の甲を口元に寄せた。


「っえ……?」
「……だから、こうやって話してるだけで何故か心臓が煩いし、目も合わせられなくなる……」


もうどうにでもなれ。
という感じで若は言葉を並べた。
どれも、私の嬉しい言葉ばかりで。
私の心臓を鷲掴みにするのも簡単な言葉ばかりで。


「っ若……私…もだよ……」
「……知ってますって」
「そんなこと言われると、嬉しすぎて心臓どこかに飛んでっちゃいそうじゃん!」
「俺もですよ」


真っ赤な若は珍しい。
滅多に見れないことだから、私は心に焼き付けるようにじっと見た。


「……そんなに見ないでください」
「やだ…。こんな可愛い若は今しか見れない!」
「っ……別に見なくて……!?」


反抗しようと若がこっちを見た瞬間、私は隙を見てちゅっとリップ音を立ててキスをした。
短い時間だったけど、若の熱が私へと伝わった瞬間だった。


「……千鶴先輩っ!」
「あはは、びっくりした?」
「っ……もう知りません……」


若は呆れたように俯いて呟いた。
そんな落ち込んでる(?)若も可愛いんだけど……。


「あぁ若っ!ごめんって、だから顔上げ……っ、」


立ち上がって元気づけようと若に顔を近づけると、視界いっぱいに若が入ってきた。
ふわりと唇に柔らかい感触を感じながら。


「っ…!っわ、あっ…」


若、と呼ぼうとしても、唇が離れなくて言葉にはならなかった。
さっきの私がしたくっつけるだけのキスじゃなくて、舌と舌が絡まり合うとろけるようなキスで。
頭が真っ白になりそうだった。
愛しい人との、……大事な人との、キスに。


「う、っん………っは」


何の前触れもなしに唇が離れ、目を開けるとそこには勝ち誇ったような若の顔。


「さっきのお返しですよ」
「〜〜っ……若の馬鹿っ」
「先輩じゃ、こんなキスはできないですからね」
「っるさい!」


そうやってじゃれ合って。
笑い合って。
触れ合うのが。
何よりの幸せで。
何にも変えられないもので。

私の心を
一人で満たしてしまう……。
そんな貴方は、

The person who gives a lot of love to me.





私の傍に居てくれる愛しい彼は、
(私に沢山の愛を与える人)



はい!!
1周年記念アンケート第1位の日吉くんです!
ツンデレがいい!という意見が多かったので、それにお応えしようと頑張ったのですが………。
これツンデレか?\(^0^)/となってしまい……。
書いてて唐突にツンデレというものが理解できなくなりました。
とにかく、私の理想の日吉くんを書いてみました!←
1周年ありがとうございます!
無事に2周年が迎えられることを祈っています!
20080920.