ブン太の告白からしばしの沈黙。


「あ、えっ……?」


私は、まだ今の状況が理解できなかった。
えっと……私は、ブン太の話が終わったら告白しようと思っていた。
それが……ブン太の話は、私に好きって言うこと?


「……言っとくけど、嘘じゃねーぜ」


照れ臭そうにブン太は呟く。


「……ほ、ほんとに?」
「ああ。マジ」
「…大マジ?」
「めっちゃマジ」


わけの分からない会話をして、ようやく私は理解した。
ブン太は、本気で私を想ってくれているんだって。


「う、そっ……!」


私は顔が熱くなるのが分かって、手で口を押さえた。


「だから、本当だって。何回言わせんだよ」


じれったいとでも思っているかのような口振りで言うブン太。


「だ、って……」


私も、今日その気持ちを伝えたかったのに。
先に言われてしまった。


「……それで、璃乃は?」
「えっ……?」
「璃乃は、俺のこと……どう想ってんの?」


少し不安さがある表情で私に聞いた。
……今すぐ、この気持ちを伝えたい。


「私……っ、ブン太のこと大好きだよ……」


言いながら、嬉し涙が流れてきた。


「……ほんと、か?」
「ほんと……。私、ずっとずっと…ブン太のこと大好きだったもん……」


片想いかと思っていた、私の気持ち。
それが……まさか、通じていたなんて。


「ずっと……?」
「うん。同じクラスになってから、ずっと……」
「……マジかよ」


すると、ブン太は驚きの表情で、


「俺も、その頃からずっと好きだったんだぜ」


そして、嬉しさを見せて笑った。


「……うっ、あぁ……」
「っお、おい、何で泣くんだよ……」
「だって……ずっと片想いだ、とっ……」
「……そんなん、俺だってそうだ。お前、仁王と仲良いし…」
「あ、れは……相談してて……」
「相談?」
「その……ブン太のこと……」


恥ずかしくて小さい声で言ったけど、ブン太にははっきり聞こえたみたいで。
目を丸くして驚いていた。


「な……。そ、そうだったのかよぃ……」
「?どーしたの……?」
「……何でもねえ」


少し目を逸らした。


「……なぁ、璃乃」
「ん……?」
「キス、していいか?」
「えっ……」


ブン太の顔は真剣だった。


「で、でも……、」
「俺、璃乃とキスしたい」


目を逸らさずに言うブン太。



「キスは、好きな奴としたいだろ?」



その言葉を言って、私の腕を引き寄せた。
そしてそのまま、私とブン太の唇がぶつかる。


「んっ……」


触れるだけの優しいキス。
初めてだった。
こんなに……幸せな気持ちになったのは……。
しばらくして、ブン太は唇を離した。
私もブン太も、まともに相手の顔が見れなかった。
でも、チラ、とブン太の顔を見ると……あの、鮮やかな髪色と同じくらい顔を赤くしていた。

きっと、私もそのくらい赤いだろう。


「……ブン太、好き」
「……俺も、璃乃に負けねーくらい好きだ」


そうして、ブン太は強く抱き締めてくれた。





きっと私は、始終顔が赤かったと思う。

恥ずかしくて、恥ずかしくて……。


貴方の顔なんてほとんど見れていなかったかもしれない。


でも、それは私だけじゃなかった。

貴方は、恥ずかしさを我慢して私に打ち明けてくれた。


ありがとう。

私、心から嬉しいって思えたよ。


二人の頬は、同じ色。
恋をして、それが叶って。
二人の証……。



赤色―――





あかいろ
(嬉しくて、恥ずかしくて、いとおしい……)