「それでは、これから勉強会を行う」


食事のあと、少し休憩が入り、そして勉強会。
それがここ最近の日課となる。
本当ならこれから先に地獄のような家庭教師を迎えていたけど、今回は違うんだ!


「んじゃ未永、始めよーぜ!」
「うん、がっくん!」


がっくんは目の前に教科書を開き、宿題の部分をまじまじと見る。
で、時折頷いて確認する。
ちょ、ここに天使が居るよ……!
今回の家庭教師は天使なんだ!


「っし、ここんとこなら簡単だぜ。はい、プリント開いてー」
「はい、がっきゅん先生!」


私はにこやかに反応し、がっくんの顔を見つめながらプリントを開いた。
スパコンッ!


「っいだ!だ、誰!?」
「プリントに集中しろ」


犯人はこの声で分かる通り、景ちんでした。
どうやらお暇な様子なので見回ってるみたいです。
言い終わったらすぐにどこかへ行ってしまった。


「……もう、ちゃんとこれからやるのにー」
「あはは、跡部も心配なんだろ?んじゃ、問題に入る前に、出来るところまでやってみそ」
「りょうかーい」


私はプリントと向き合う。
おお、これは復讐かな。
以下の原子記号は何かを書け。

1.He
2.Na
3.N
4.Au


「ふむふむ……」


私はペンを動かす。


「お、すげえ!未永が答え書いてる!」
「ふふ、こんなの簡単!私の頭って素晴らしい!」


ほっほっほ!
私だってやればできる子……「ぶっはは!ちょ、未永マジ天才!!」


……ん?


「がっくん、褒めてくれるのは嬉しいけど、何でそんなに笑ってるの?」
「っくく…だ、だってよ〜!」


がっくんはツボに入ったようだ。
私はハテナを浮かべる。
何か変な問題でもあったのかな?
私は真面目に答え書いたし……。


「おい、宍戸!これ見てみろよ!」


訳も分からないままがっくんは亮ちゃんに私のプリントを見せる。
がっくん、亮ちゃんは良い子だから人のプリントで笑わな…「ぷっ…あはは!何だよこれ!」

「ちょっ亮ちゃん何笑ってるの!?」


私も仲間に入れてほしいなー。
と思って少し近寄ってみる。


「未永……お前、大丈夫なのか?」


笑いを堪えながら亮ちゃんに言われた。
どこを見ても私は元気だよ。うん。


「もー、何がおかしいの?私の真剣な答えを!」
「……え?これ、真剣なのかよ……」


一瞬にして亮ちゃんの顔が強張った!
何、そんなにやばいの?


「未永、じゃあ今度は口で答えてみそ。Heは?」
「変態(忍足のことを指す)」
「ん?呼んだか?」


ちなみにカッコ内も答の欄に書きました。
後ろから侑士が出てきたけどがっくんは軽くスルー……。
私も決して振り向かない。


「じゃあ、Naは?」
「ナルシスト(一般的にあほべを指す)」
「……アーン?」


景ちんまでやってきた。
状況を把握した侑士が後ろでこそこそと笑っていた。
はっきり言って気持ち悪い。


「んじゃ、Nは?」
「ノーマル(SでもMでもない私を指す)」
「嘘だぁ、未永先輩はMですよ」


初めてこの場にきたチョタが状況を読んで言う。
って、違うから!


「最後に、Auは?」
「某携帯機種(これは常識!)」
「あんた馬鹿ですよね」


ピヨまでもが登場!
いきなりその言葉ですか。
気がつけば周りに氷帝メンバー。
え、私何か気になるようなことした?


「未永、全部ハズレだぜ」
「う、嘘!ねぇがっくん嘘だと言って!」


笑顔で言ったがっくんが一瞬恐ろしく感じた。
可愛い笑顔なのに、逆らえない!


「未永〜、俺はこれでいいと思うC?」
「じっジロちゃん!だよね、これでいいわよね!」
「言っておくが、ジローは『いい』とは言ったが『正解』とは言ってねぇからな」


もーマイナス思考ね、あほべ!
ジロちゃんの笑顔があれば何でもいい「よくないですよね」……すっすいやせんっしたああ!


「でも、この答えを見る限り、未永がローマ字が分かるってことだからよくね?」
「「よくねーよ」」


がっくんの言葉に亮ちゃんと景ちんが声をそろえて言った。


「未永……やっぱり、理科は俺様が見てやる」
「いっいやああああ!」


ってなわけで、スパルタ教師のあほべティーチャーの授業という名の制裁を受けることになりました。


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