さて、次は……1階の皆は終わったから、2階だね!


「206号室の皆さ―――」


開けて、閉めた。
何だろう。
今、変なものを見た。


「………」


もう一度ゆっくりと開けてみる。


「ちょお未永、開けたのに閉めるやなんて酷いわー」


両手を広げた侑士が居た。
そんな侑士に出迎えられた私もそうだけど……同室の人も可哀想に。


「そんなことないですよ」


すると、侑士の後ろから声がした。


「いじるの面白いですし」


チョタだった!
そっか、チョタだったんだ!
侑士とチョタが同室だからチョタの黒さや侑士のヘタレさが磨かれていたんだ!


「何を言ってるんですか」


ほら!やっぱり黒い!


「とりあえず入りー」
「うんー」


入れてもらった。
そして、次に私を向かえてくれたのが、


「あ、未永さん」
「あぁ?……何でてめえがこんなところに」


ハニーの裕ちゃんと実は素直な仁ちゃんだった。
ここは楽しそうな部屋だね!


「何の用だよ」


仁ちゃん、相変わらず目つきが悪い。
でも、座ってて上目遣いだから怖くないよ。


「ちょっと皆に聞きたいことがあって」
「何てめえ勝手に座ってんだよ」
「いーじゃん。お客さんなんだし」
「誰が客だよ」


もう、仁ちゃんったら。
隣に座ったら照れちゃって。


「聞きたい事ですか?」


チョタが聞き返した。


「うん。皆、好きな人って……」
「おるで!」
「いますよ!」


即答したのは侑士とチョタ……。
あとの二人は驚いてたり呆れたりで答えなかった。


「へぇ、やっぱり!」


答えた二人は大体予想できたよ!


「でも、誰?」
「教えて欲しいですか?」
「うん!……あ、でもチョタの場合、少し予想つくかも」
「へえ。誰ですか?」
「亮ちゃんでしょ!」
「違います」


嘘っ!?


「確かに、先輩としては好きで尊敬してますけど……それとこれとは違いますよ」


そうだったんだ……。
てっきり本当に好きだと思ってたよ……。


「で、その違う好きな人は……」
「秘密です」


ええっ!
ここまで言っておいて!?


「いつか、教えてあげますよ」


爽やかに笑って言った。
……まぁ、いつかの楽しみにしておくのもいいかも。


「それじゃ、侑士は?」
「俺はなぁ……驚くな?……未永や」
「あ、そうなんだ。ドウモアリガトウ」
「めっちゃんこ棒読みやないか」


だって侑士だもん。
いっつも言われてるようなもんだし。もう聞き飽きた冗談だもの。


「……本気やで?」
「ハイハイ。ありがと」
「……絶対信じてないな」


侑士は溜息をついた。


「じゃあ、裕ちゃんは?」
「え、お、俺ッスか?」
「いる?」
「……い、いないですよっ」


久しぶりの可愛い反応!
好きな子聞いただけでこんなに照れるんだから!


「うふふ。そういうことにしといてあげる!仁ちゃんは?」
「……好きな女なんかいねーよ」
「嘘だー!絶対仁ちゃんとか居そう!むしろ付き合ってそう!」
「うるせーな。いねえっつったらいねえんだよ」


こちらも不器用な照れ方ね!


「いーもん。今度偵察に行くから!」
「来るんじゃねえ」


仁ちゃんは呆れ顔で言った。


「よしよし……。データは集まりつつある!」


私も小声で呟いた。


「それでは皆!質問に答えてくれてありがとう!」
「いいですよ」
「今度は二人きりで語ろうや」
「結構」
「……もう来るな」


ま、皆色んな言葉!
侑士だけだ。相変わらずキモイのは。


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