「さて、今日も1日頑張っていきましょー!」


翌日、清々しい朝を迎えた。
昨日の夜のことが嘘みたいだよ。


「……なんであの人は朝っぱらからあの調子なんだ」
「………眠いッス」


横でピヨとリョマが何か言ってる。
きっと、今日も頑張ろうって気合を入れてるのね!


「………どうしたんですか、未永さん。珍しいですね」
「あ、ヒロちゃん。それがね、私の今日見た夢が私をこうさせてるのよ〜」
「よほどいい夢だったんですね」


少し嬉しそうな表情で言ってくれるヒロちゃん。


「ううん。全く」
「?そ、そうなんですか?」
「聞いてくれる?ヒロちゃん……」


私はヒロちゃんの肩をポンポン叩きながら勝手に語りだした。



それは夢の世界で。


「あ〜〜、今日も部活かぁ……。面倒〜」
「おめーは何もやってねーC」
「相変わらずひっどいなぁ、景ちんは」
「俺、跡部じゃないよ」
「ん?……ってジロちゃん!?」
「うん。俺」
「どどどうしたの?何か雰囲気が景ちんっぽく……」
「未永は気にしなくていいC」
「……あれ?ジロちゃん、黒……」
「で、さっき部活めんどいとか言ってたC?」
「うう、うん……」
「跡部がね、未永が変なこと言ってたら本性出して……じゃなくて、怒っていいって」
「今、何か別の言葉が……」
「だから、これからは容赦しないよ??」
「ひぃぎゃああっ!!」



「以上、会話文だけでお送りしました」
「よく分かりませんが」
「つまり……天使のようなジロちゃんが悪魔になっちゃったの!」
「あぁ、ここの芥川は白じゃもんな」
「そうそう!まさに天使……って、話に混ざってこないでよ、ニオっち」


それと、ちょっと危ない発言があったわよ!


「ケチやのう。誰がその悪夢から逃したと思っとるんじゃ」


……朝、ニオっちに起こされたのは確か。
でも、ニオっちの姿が半裸でまた叫んだ私は夢の二の舞じゃないか!


「ん〜?なになに?何話してるの?」
「ジロちゃんっ!」
「?未永、顔青いよ?」
「う、ううん……何でもない!ジロちゃんはいつものジロちゃんよね?」
「ん、俺はいつものジローだC!未永、どうかしたの?」
「良かった!夢だったんだっ!!」
「未永、苦しい〜」


やっぱりあれは日頃の疲れが出ちゃったのよね!
それじゃなければ誰か黒い人が悪夢を送りつけてきたのよ!


「……それで、その夢の朝からの元気と何の関係が……」
「甘いわね、ヒロちゃん」


私は人差し指を上に突き出し、


「夢のことが現実になっちゃうかもしれないじゃない!だから、今日は朝から気合入れてるのよっ!」
「今日は、なんですね」
「そこは言わないで」


ってことで、今日も1日頑張りましょー!


「……そんな私情でテンション変えないで欲しいよなぁ。こっちの方も狂っちゃうじゃん。……もしかしたら、その夢っての、俺達の練習の邪魔をしたいとかいう陰湿なやつの仕業なんじゃないのかなぁ。あーやだやだ、こういうネチっこいことするのって。これで俺のやる気までなくしちゃったら誰が責任とってくれるんだろ」


せっかく爽やかに次にいこうとしてるのに……!
深っちって朝はいつもにも増して不機嫌!?


「……ふぁ、眠い」


言い終わった後深っちは手を口に当てながら欠伸をした!
か、可愛いっ!!


「……何見てるの?人の欠伸見てそんなに面白い?」
「いや、可愛いと思って」
「……そんな真顔で言わないで欲しいなぁ」
「だって、本気だもん」
「………バカ正直」
「?」


最後、私でも聞き取れないくらいの声で言われた。
何って言ったんだろう?


「……ま、気合が入ってんならこっちも楽だけどな」
「あ、亮ちゃん!私、今日頑張るから!」
「わ、分かったから抱きつくなっての……!」


きゃーわいい!癒される!


「未永先輩、マネ業をやるのなら宍戸さんに抱きついてはいけませんよ」
「チョタ!?いや、これはスキンシップで……」
「だったら、今日の内に全員とできますか?」
「で、できるけど………侑士は外していい?」
「ちょお」
「あ、居たんだ!」
「………」


あ、泣いた。
……放っておこう。


「さーて、部室行こうっかな〜」


そう言って私は一人部室に駆け込んだ。
そして、これからの仕事を探し始めなきゃ。


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