「あぁっ!私の唐揚げっっ!!」
「ん?早い者勝ちだぜ!」
「いや、それ私のお皿にあったんだけど」


今はお昼ご飯を食べてる最中。
がっくんに唐揚げ取られた……。
最後まで取っておいたのに……っ。


「しょうがないじゃん!好きなんだからさー」
「うう……でも可愛いから許す!」
「お前いつもそればっかだな」


可愛いものは私の大好物よっ!
……でも唐揚げ……食べたかったな……。


「クス、それなら僕のをあげるよ」
「神出鬼没な周助様ありがとう」


最近あなたの普通の笑顔でさえ怖く感じるのは何故なんでしょうか。


「さぁ……何でかな。僕にも分からないや」


そういうところだと思います!
心読みすぎだよ……。


「それはいいとして、ほら、唐揚げ食べなよ」
「あっ、ありがとう!じゃ、遠慮なく……」


早速かぶりついた瞬間、舌が悲鳴をあげた。


「辛ぁああっ!!」


物凄く舌にビリビリきたな……。
なんか、調味料のありとあらゆるものを混ぜ合わせたような……。


「そう?一味唐辛子をかけただけなんだけど……」
「辛すぎだよっっ!ど、どんだけえええええっ!!!」
「どんだけ?こんだけ」


周助が小瓶を持っていた。
……それ、結構な量だよ?


「うわぁあんっ!周助が酷いよっ!」
「「「………」」」
「………」


うわぁ、総スルー。
チョタに関しては面白そうに見てた!
やっぱり、平穏に食事をするのは無理みたいでした。


「それじゃ、僕は青学の方に戻るよ」


周助は手を振って青学の方に戻った。
……結局、私に辛い唐揚げを食べさせるだけに来た感じがするよ……。


「……そ、そろそろ練習に戻ろーよ!」
「そうだな。よし、皆片付けろ」
「分かった」


魔王様が居なくなった途端にこうなんだから!


「うぅ……いくら魔王様が怖いからって、私を守ってくれる人はいないのかなぁ……」


少しいじけてみた。


「あはは、また不二に虐められたの?」


爽やかな笑顔でやってきたのはサエっち。


「サエっちーっ!」


声を掛けてくれたことに感動してサエっちに抱きついた。


「よしよし」
「うう、サエっちだけだよ〜!私を慰めてくれるのは……」
「なんや?慰めてほしいんか?なら俺の胸に「侑士は私を見捨てたからやーだ!」


侑士にあっかんべーをして再びサエっちの胸に戻った。


「ははは、二人とも、何やってんだ?」
「あっ!サエさんが未永さんと抱き合ってるー!」
「きつく抱きつく……ぷっ」
「あはは、相変わらず寒いね。未永ちゃん、暖めてあげるよ」
「っさ、サエさん……酷いッスよ……」


サエっちがダビちゃんにあんなこと言うなんて……!
意外な一面を見た気がする……。


「……おいそこ。いつまで抱き合ってんだよ」
「ん?……あれ、景ちん。練習しに行ったんじゃないの?」
「お前が来ねーから戻ってきたんだよ。……さっさと来い」
「はは、良かったね、未永ちゃん。跡部が心配してくれてるよ」
「け、景ちんが……!」
「……バーカ。そんなんじゃねえよ。お前が来ないから女子マネが困ってんだよ」
「そ、そうか!……サエっち、私、行ってくるね!」
「うん、頑張ってね」
「OK!」


そうして私は景ちんに付いていき女子マネの子と仕事を始めることにした。





「はは、あの二人、何だかんだ言って仲がいいよね」
「羨ましいですね〜」
「そうか?俺にはよく分かんねーけど」
「……確かに、未永さんは氷帝から愛されてますね」
「あ、ダビデが言うなんて珍しいね」
「……そうッスか?」
「僕も負けてられないなー!」
「はは、頑張れ。剣太郎」


温かく見守ってる人が多いですね、六角は。


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