さあ、前を向いて。
幸せを噛み締めて。

新たに前進し始めよう。

幸せという名の道を踏みしめて―――





No side



皆がお互いの事を分かり合えた。
これほどの幸福は、皆初めて体験したことだろう。
なにより、栞が微笑んだのは、誰もが初めて見た姿。


「……本当にありがとう、精市」
「ううん…。未玖の為だもん」


優しく微笑む幸村。
それが、未玖を安心感に満たせた。


「ありがとう、立海の皆。……私の為に、色々走り回ってくれたみたいで」


氷帝を説得させる為に。
未玖を助ける為に。
全てに必死になっていた立海。


「気にしなくていい。未玖は大切な仲間だからな」
「そうッスよ。何時でも駆けつけますから!」
「困った時はメールで赤也を呼べば、走ってくるってよ」
「へー。神奈川から東京までか……」
「いや、そんなに走れませんよ!」


ところどころから笑い声が漏れ出す。


「栞、またマネやってくれるよな?」
「……でも、私は…」
「平気だって!俺達が全力で守ってやる!」


栞が、いいの、と未玖を見る。


「そうだよ。また一緒にマネやろ?大変な仕事は岳人に押し付けていいから」
「俺かよっ!?」


未玖は早速明るく振舞っている。
その様子を見て、栞も何か吹っ切れたように全員を見回した。


「うん、頑張るっ!」





この世の中で、神様から見放されてる人なんていない。
ちゃんと、神様は全員を想ってくれている。

だって、生みの親は、本当は神様でしょう?

ちょっとした事が、人生を大きく変える事に繋がる。
それは、私たちに与えてくれた、大きな試練である。
それに、チャンスでもある。

誰も、一人なんかじゃない。
遠くから見守ってくれている人がいる。
必ず、手を伸ばしてくれる人がいる。
幸せを運んできてくれる人がいる。

そんな人が、あなたの周りには沢山いるんです。
もっと言うなら、今まで出会ってきた人々全員が、あなたの人生に関わる人々なのです。

もっと、喜びを感じてもいいんだよ。
想いが伝わらない時も、決して諦めないで。

新たな誤解を生むことになってしまう。

そうならない為にも、今。


人を想い、想われる幸福を感じよう。


あなたはひとりじゃない―――





-HAPPY END-