俺は…
自分の罪を認められなかった。

最低な男なんだ―――





宍戸side



何で信じる事が出来なかったんだ。
何で、守ってやる事が出来なかったんだ。
何で……
好きな奴を助けてやれなかったんだ―――





「未玖………もう俺たちの前に現れるな」


跡部のこの言葉以来、未玖は部活に来なくなった。
俺たちの前にも現れなくなった。
俺は……その時、何を考えていた?


「……戸…宍戸」
「……んぁ?」


後ろから、岳人の声がした。


「…何だよ……」
「お前、寝てんじゃねーよ」
「は……?」


どうやら、俺は寝ていたらしい。


「……そっか、わりーな」
「……ちゃんと起きてろよ」
「おう」


最近、夜眠れずに居た。
そして、学校で寝ることが多くなってしまった。
とりあえず、その授業だけは受けて、次の時間からサボる事にした。
俺は屋上に行った……。


「……ふぁ〜」


欠伸しながらドアを開けると、眩しいくらいの日差しが俺を出迎えた。


「………!」


そして、目を前に向けたら。
フェンスに未玖がもたれていた。


「………未玖…」


久しぶりに見た未玖に、少し戸惑いながらも少し近づいた。


「……ん…」
「……寝てんのか?」


俺はもっと近くまで寄った。
未玖は、膝を抱えながら眠っていた。


「……こんなに近づいても、起きねぇ…」


恨んでいる筈の相手なのに、何故か未玖に手を伸ばした。


「…っ、だめだ……。未玖は……」


こういう時、俺の中の気持ちが邪魔をする。
未玖を好きだという気持ちが―――


「……っう…」
「!」


少し未玖が呻いた。


「……みん…な……信じて……」


未玖は、涙を溜めて呟いた。
夢でも見ているのだろうか。
俺たちの、夢を……。


「……未玖」


どうして、こうなっちまったんだよ。


「……っ助けて……み…んな……っ」


答えは分かってる。
俺たちの所為なのに。


「……未玖……」


俺の口からは、未玖を呼ぶ言葉しか出ない。


「……もしかして……俺たちが……」


間違っているのか?
今まで未玖にした事全部。
間違っているのか……?


「……っ」


違う。
そうじゃない。
今、未玖の頬を涙が伝った。
俺たちは悪くない……。
俺は悪くない……っ。


「……未玖の、所為だっ…」


自分のした事を認めれなかった―――


「……俺は、悪くない……」


そう思うしかなかった。
今更、罪を受け止めることなんて出来ない。
もう俺に戻る道はない。


「…最低だな」


ほんと……最低だよ、俺は。
今、未玖の頬の涙を拭いてやることも出来ない。
俺は、静かに立ち上がり、屋上を出て行った。





なんで、あの時素直に受け止められなかったんだ…。
どうして、好きな奴を信じてやれなかったんだ…。
あの時、俺の罪の重さよりずっと、未玖は重いものを背負っていたのに。
ほんと……俺は最低だよ。
こんな最低な俺を……未玖は、どう思ってるんだ……。

それでも、
好きという気持ちは、今でも変わらない―――