俺達は
また繰り返すのか?
まんまと罠にはまって。

あの過去を―――





跡部side



「っ来ちゃだめ……!」


入る寸前に未玖の声が聞こえたが、その時にはもうドアを開けてしまっていた。


「未玖、どうし――――」


そして、ある一点を見た瞬間絶句した。


「っ皆……!」


あいつがいた。
塚原……が。


「っ!?何でお前がここに!?」


俺の後ろに居た岳人が声を上げる。
そして、次々驚愕の表情を浮かべていった。


「おまっ……、何でここに居んだよっ!」
「未玖先輩から離れてくださいっ!」
「ここはお前が来るところやないっ!」


全員、叫んだ。
塚原に向けて。


「っ未玖ちゃん……っ」


そして同時に、俺たちはまんまと罠にはまってしまった。


「やめてっ!皆!」


未玖が俺たちを睨んで、


「っ……栞ちゃんを虐めてたのは本当なのね……っ?」



俺たちは言葉を失った。



「……は?何言ってんだよ、未玖……」


宍戸はわけの分からない顔で未玖を見た。


「っとぼけないで……ずっと、信じてたのに……」


俺にも理解できねえ。
何で、未玖がこんなことを言う?


「未玖、落ち着――――」
「近づかないでっ!!」


未玖は近づこうとする忍足を拒んだ。


「未玖さんっ」
「いや!いやっいや!信じてたのにっ…酷いよ……っ」


信じてた?
本当にか?
今の俺たちには、そんな事を言う権利なんて無い。


「酷いよっ…栞ちゃんを虐めるなんて……」
「違うっ!未玖、それは――――」
「聞きたくないっ!」


未玖は、俺たちの言葉を受け入れようとしなかった。
まるで取り乱したように、俺たちを拒んだ。


「未玖ちゃん……」


目の前の、忌々しい存在が未玖に抱きついた。


「……っ出てって」


未玖は、俺たちに言った。


「未玖―――」
「出てってっ!!」


目には涙を溜めていた。


「……っ」


俺たちは、これ以上その場にいることができなかった。
ゆっくり、病室から立ち去った。



そして、瞬間、見てしまった。
塚原が、未玖にすがりつきながら。
肩を震わせていたのは、泣いてたからじゃねえ。

笑っていたからだ――