記憶は失っても
考えや、態度が同じじゃ
全然、意味ないのよ?

ここから……
逃れられないのよ……―――





栞side



「……くす。ほんと、すぐに人を信じちゃうんだから……」


病室に出てから、私の口は弧を描いていた。
少し、優越感を感じていたのかもしれない。


「……可哀想な子」


初めは誰からも愛されていた。
幸せだったでしょ?
だから目を付けられる。
すぐにそんなの壊れちゃった。
苦しかったでしょ?


「……前みたいに、純粋で。同じ事を繰り返すことになるなんてね」





病院から出る時、近くにあったゴミ箱に、さっきもらったハンカチを捨てた―――





この傷。

貴方も、氷帝に居た頃は。

こんなに傷だらけだったのよ?


ボロボロで、誰からも見捨てられて……。



一番酷いのは心の傷。



だって、屋上から飛び降りるくらいだものね。

でも
それが、私の人生を狂わせた。


あいつらは自分の犯した過ちに気づき、とても後悔した。

そんなの、すぐに分かる。
あんな、暗い雰囲気じゃあね。



だから、
私は学校から姿を消した。

だって、残ったのは仕掛けた私だけだものね?
いくら単純な皆でも、さすがに気付いてしまう。

あんたが飛び降りさえしなければ。


私はこんな演技をして、あんたの前に現れることもなかった。
ずっと悦に浸って、中学校生活が終わるはずだった。

……神様は、そんなことはさせないみたいだった。


………何で、あの子なのよ。
どうして、私じゃないの?


私だって―――