ねえ、
真実はどっち?

どっちも
疑いたくないよ―――





「えへへ、今日も来ちゃった〜」


ひょこっと顔を覗かせた栞ちゃん。


「ふふ、すっごく嬉しいよ」
「ほんと〜?」


笑うと、笑顔で答えてくれる。
そしてまた色々な話をした。


「それでね〜…………?」


私はふと、栞ちゃんの腕に、赤い痕があるのが分かった。


「!?栞ちゃん、これ……」
「……っ」


私が指摘をすると、まるで、気付かれたくないようにすぐ隠した。


「………栞ちゃん……?」
「……あ、はは……未玖ちゃんには、見られたくなかったなぁ……」


少し困った顔をして、言い逃れできないと思ったのか腕を見せてくれた。


「……っ!」


そこには、大きな打撲らしき痕があった。しかも一つじゃない。
色が真っ赤で、もう、所々が紫になっている。


「………こ、れ……どう、したの……?」
「………」


聞くと、栞ちゃんは目を逸らした。
髪の毛で顔が隠れて、表情が見えない。


「……もし、かして………テニス部の、皆に……?」


恐る恐る聞いてみた。
すると、栞ちゃんは小さく頷いた。


「……未玖ちゃんに、気付かれないように、してきたんだけどな……」


そして私の方を向き、急に泣きそうな顔になり、傷を隠した。


「………栞、ちゃん……」
「……これでも、まだいい方なのよ……。いつもは、全身だから……」


私は、信じられなかった。
本当に、テニス部の人が栞ちゃんを虐めている……?
この傷を見たら、誰もがそう思ってしまう。


「……ごめんね。これ以上居たら、私、泣きそう……。また、来るね……」


声が震えていた。
そして、逃げるように出て行った。

………私は、どっちを信じればいいの?
どっちも、大切な仲間……。

でも、傷が―――





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ふふ。
もうすぐ、あの子は罠に掛かる。
本当、可哀想な子。
私の演技に、まんまと騙されて。

今、究極な選択が浮かんでいるでしょうね?

私の言うことを信じるか、テニス部の奴らを信じるか。
ちなみに言うとね?
私のこの傷、あんたと同じところに付いてるんだよ?
あんたは、ここに、テニス部の奴らに傷をつけられた。

私は、あんたの前で、あんたを演じているのよ。

いつ、気付くでしょうね?
そしていつ、判断を下すのかしらね。

すぐには、答えは出せれないかもしれない。
でも。
必ず、決断の時が来るのよ。


それはきっともうすぐ―――