嬉しかった。
悲しかった。
辛かった。
苦しかった。

色んな気持ちが交ざり合い、
誰もが、
ただ一人の幸せを願っている―――





びっくりした。嬉しかった。信じられなかった。
私に、氷帝から……お見舞いに来てくれる人が居たなんて。
誰ですかと聞いた時、凄く悲しそうな……切なそうな顔をしていた。
当たり前だけど……私のことを知っている人だ。
でも、嬉しくて笑顔になると、皆の表情が変わっていた。

私は……一体どういう生活をしていたんだろう。
私は……一体どういう存在だったんだろう。


聞きたいことはたくさんある。
だけど、私も戸惑っていたし、皆も少し緊張しているようなそんな表情だったから何も言えなかった。


「えっと……またお見舞いに……来て、くれる?」


そう聞くのは、少し不安だった。
そんな顔にさせたのに、また来てくれるのかと。
記憶を失って、皆の事が分からないのに、また来てくれるのかと。
答えを聞くのが……不安だった。
でも、


「……勿論や」
「明日も、来ますよ」


氷帝の人たちは、全員笑ってくれた。
何だか、凄く安心できた。
立海の皆も、無言ながらも、何か伝えたそうな顔をしていた。
何だか……凄く、あったかい気持ちになった。





忍足side



未玖が、笑っとった。
本当に、忘れてまったんやな。
前の未玖やったら、絶対に笑ってくれへんやろ。
口も……聞いてくれへんやろ……。

でも、俺らは、それ相応なことをやっとったんや。
たとえ未玖の記憶が戻ったとして、その時そんな態度をとられても、しゃあないんや……。





向日side



凄く、懐かしく感じる未玖の笑顔。
一生見ることが無いと思っていた、未玖の笑顔。
何だか、凄く泣きたくなった。
凄く酷いことしたのに、記憶が無いとはいえ、笑ってくれた。

凄く、嬉しかった。
その笑顔、俺が守ってやりたい……。





宍戸side



未玖の笑顔。
見た瞬間、目頭が熱くなった。
なりふり構わず叫んで、未玖に謝りたくなった。

今……凄え、凄え後悔してる。
一度は切り捨てた笑顔なのに……もっと、見たくなった。
押し殺した気持ちなのに……凄く、抱きしめたくなった……。





芥川side



未玖が……未玖が、笑ってた……。
本当に、俺たちのこと忘れたの?
それが未玖にとって良いことなのは分かってる。
でも、やっぱり、前の未玖と話したい……。
んで、いっぱい、いっぱい謝る……!

だから……未玖。
もう笑顔を……失くさないで……。





鳳side



本当に久しぶりな、未玖先輩の笑顔、声。
声を聞くのも久しぶりだけど、笑顔を見るのは、もっと久しぶりだ。
ああ……笑顔を見た瞬間、凄く、情け無い顔しただろうな……。

でも、皆そうだった。
凄く……反省したような、決心したような顔だった……。
俺たち……今からでも、遅くないですよね……?





日吉side



皆、思ってることは同じだろう。
未玖先輩……。
俺が未熟な所為で、本当にすみません……。

……未玖先輩の笑顔を奪ったのは、俺たちだ。
だから、俺達で、未玖先輩の笑顔を取り戻したい。
これから辛い事もあるでしょうが……俺たちが、守りますから……。





今までとの想いと、今の想い。
矛盾しててもいい。
ただ、今の……純粋な気持ちを述べただけ。

何があっても…未玖を守る……っ!