スポーツが好き。
それは、ここの合宿に来ている人全員が思っていること。

それをぶち壊して――ごめんなさい。





「あっ、皆!遅かったね!」


私はびっくりした。
こんなこと、初めてだ。


「夕食、あとご飯炊くだけだよ〜」


愛美が食堂に先に居て、もう夕食を作っていた。
私だけじゃなく、全員が驚いたと思う。


「……藤堂…?」


宍戸がぽつりと呟く。


「氷帝と立海の皆は座ってて?あとは私たちが作るから!」


笑顔を向ける。
私たち…だから、私も入っているのか。


「……咲乱」
「いいよ、皆。私の仕事だから」


そう言って、皆を座らせて調理場に入った。


「……珍しいわね」
「ふふっ、気分よ」


愛美はそう言うけど、本当かしら。


「だって、あと2日しかないんですもの」


楽しそうに笑う愛美。
でも
私から顔を逸らした瞬間、切なさが見えたような気がした。
……気のせい、よね。


「じゃあ、運んでくるから」


愛美は、青学の分を取った。
……私は、まずは氷帝の分。

食堂を見ると、もう3校揃っていた。
誰一人として、笑っている人はいなかったけど。


「はい、皆。どうぞ」
「ありがとう」
「あ……どうもッス」


青学の元気がいつも以上に無かった。
……愛美と何かあったの?


「……はい、夕食」
「おう、サンキュ」
「運ぶの、手伝いましょうか?」
「ううん。平気。これだけだから」


また戻って、立海の分を取ってくる。


「はい、どうぞ」
「うむ。悪いな」
「ありがと」


皆、笑顔で貰ってくれた。
私は自分の席に戻って、夕食を食べた。
やはり、喋る人なんて誰もいない―――


いつの間にか
こんなにも暗い合宿になっていた。
テニスの練習だって、全然してない。

私のせい。

このことだけは
皆に謝りたい―――