昔の皆はどうしたんだろう。
最近、思うようになった。

でも

戻ろうとは思わない―――





?side



「皆、どうしたの?顔色が悪いよ?」


青学の部屋で静かに座っていると、愛美が帰ってきた。


「……愛美」
「どうしたの?部長」
「……いや、何でもない」


手塚が言いかけて、止めた。
…こうして見ると、おかしいよね。
皆、初めの頃の面影がまるで無い。


「お疲れ〜。今日も頑張ってるね」
「そりゃあ、君が応援してくれたらね」
「あ〜!不二にだけずるいにゃ!俺にも〜」
「ふふ、お疲れ様」
「先輩〜、この後何か食いに行きません?」
「え?これから?」
「桃城、買い食いとは見逃せないな」
「あっ……手塚部長」
「ふん、そんな暇があるならマラソンでもしろ」
「んだと、喧嘩売ってんのかよ、マムシ!」
「あぁ!?もういっぺん言ってみろゴラァ!」
「あーあ……二人とも…」
「まだまだだね」
「ふふ、ほんとにもう…」
「じゃあ、皆で帰ろうか」
「そうだね」


あの頃の皆は、居ない。
全て、壊された。
あの女に。
あいつが居なければ、あの子と、ずっと幸せに過ごせたのかもしれない。
こんな事には、絶対にならなかった。
こんな、皆の気持ちがバラバラになることなんて。

……まぁ、僕が言えることじゃないけど……。


「どうしたの?」
「……ううん、何でもないよ」


人のことより、自分の心配をした方がいいと思うよ?
凄く、顔が暗いんだから。


「……愛美、もう皆に会い辛くなっちゃったなぁ…」
「……大丈夫だよ、俺たちが守るから」
「…ああ。最後まで俺たちは愛美の味方だ」


最後まで。
僕たちは
狂い続ける―――





咲乱side



「咲乱っ!」


私が部屋に戻ると、立海の皆が迎えてくれた。


「皆……」
「大丈夫だったのかよ?」
「うん…。皆が助けてくれたから……」
「……そうか、なら良かった……」


本当に安心したように弦一郎が言った。
……ありがとう。
言葉ではまだ言えないから、心の中で言うね。


「……あのね、皆」
「…ん?何だい?」
「……後で、一緒に話をしてくれる?」
「……うん、いいよ」


精市、その微笑が私をいつも助けてくれる。
昔から支えてくれたのは―――


「咲乱、あまり無理をせんようにな」
「辛くなったら、言うんだぞ」
「俺等が支えちゃる」
「あんまり、深くは言えねぇけど」
「俺たち、最後までついてるッス」
「なので、安心してください」
「お前は一人きりなんかじゃないだからな」


立海の皆だった―――


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