やっと、分かった。

私には……守ってくれる人が沢山居るという事が―――





越前side



「あれは……」


あっちから走ってくるのは、菊丸先輩と桃先輩。


「「………っ」」


二人は、ずっと下を向いて走っていて。
俺になんか、見向きもせず、ひたすら。
下唇を噛んでいた―――





咲乱side



だめなの。
今は、だめなの。
ずっと、存在を消して欲しいって思ってた。
ずっと、存在を消したいって思ってた。
でも、今はだめなの。

私は、独りじゃないて分かったから。
私には、沢山の仲間が居るって分かったから。


「…もう、我慢しなくていい…」

初めに私に声を掛けて、何時も、私を助けれくれた、跡部。

「…なあ、俺等に守らせてや」

私の事、本気で考えてくれて、時に場を和ませてくれる、忍足。

「…何で…、何で自分から痛い事すんだよ!」

私の事を心配してくれたあの時の顔、忘れないよ、向日。

「…っ、自分の事くらい…っ、考えろよ…」

私のことを考えて、本当の痛さを教えてくれた、宍戸。

「そう?笑ったら何か楽しいじゃん!」

いつも、無邪気に笑ってて、元気をもらってた、ジロー。

「…あの、名前で呼んでください」

その時の真剣な眼、本当に意外で、嬉しかった、鳳。

「…いえ、それは、俺の意思ですから」

初めは無関心だったのに、動いてくれた、日吉。


「これだけは覚えててね?俺達は、咲乱を信じてるから」
「…お前を合宿なんぞに、来させたくなど無かった」
「…咲乱が無理をする確率98%だ」
「私は、貴女が傷つく姿をもう見たくありません」
「忘れるんじゃなかよ。俺等は味方じゃ」
「…辛かったら、途中で止めろよ?」
「咲乱さん…俺たちも、辛くなるっス…」


立海の皆―――


「このままじゃっ、咲乱先輩が傷つくだけ……っ!」


唯一、ずっと私を信じてくれて見守ってくれた、リョーマ。


誰もが、私の為を思って
優しい言葉を掛けてくれた―――

だから
まだ、終われない。
私の結末は、こんなんじゃない。
今、終わってはだめ。
私を守ってくれてる、氷帝や、立海、リョーマが居るから。
ちゃんと、この事が解決しないと。
……私は、終われない。
織にも……会えない。
だから……お願いです。


誰か――助けて―――――。


気付いたら、眼を硬く閉じて。
手が痺れて、扉にすがりつき。
床が目の前に来るほど、崩れて………。


「――――――」


無意識に、ある人物の名前を呼んでいた。



「あ………と、べ…………っ」


いつも私を助けてくれる人―――


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