皆が居るから、頑張れる。
たとえ、これからどんな事があろうと。

合宿の最終日までは―――





昼ご飯。
皆、何も話さず、静かだ。
珍しく、青学も静か。
愛美のテンションも低いまま。


「……咲乱」
「何?精市…」
「……これで、いいの?」


それは、何のこと?
青学?
愛美?
それとも、全部……?


「……私は、合宿を最後まで迎える」


そう、覚悟を決めた。
自分の道は、最後まで自分で進む。


「……結末は、決まってるから」
「………」


精市は、何も言わなかった。
私の言葉の意味は、分からないと思う。


「………」


これから、最後まで行くだけ。
それが、私の運命=B


「……午後の練習の始まりよ」


そう言って、氷帝・立海に声を掛ける。
青学は、何も言わず立ち上がった。


「……愛美…」
「大丈夫よ、英二」


そう言って、微笑んだ。
心の底からの微笑みじゃない。
それくらい、すぐに分かる。

そして、部屋に愛美と二人きり。


「……あんたって、相当不幸な奴よね」


いきなり、愛美は言い出した。
真剣な顔。


「……誰がそうさせたのかしら」


わざとらしく言う。
私が狂ったのは、貴女の所為よ。
青学の所為。
そして―――


「あんたの兄、織もよ」
「…!?」


何で、愛美がそんな事言うの?


「……愛美が、分からないわけないでしょ」


……そうよね。
愛美だって、あっち側。


「……まぁ、見てて面白かったからいいけど」


いつもの表情に戻った。
真剣な愛美より、こっちの愛美の方が慣れてる。


「……まだ、足りないんだから…」


私を虐めるのを?


「……それで?また、叫ぶの?」
「そんな事しないわ。……見てなさい、愛美の駒の動きを」


そう言って、愛美は出来上がったドリンクを持ち、渡しに言った。
勿論、私がつくったわよ。


「皆〜!ドリンクどうぞ〜!」


態度が一変。
さっきまでの雰囲気がまるで無い。


「さんきゅ〜!」
「いつも頑張っているな」
「貰うよ」


青学の声。


「あ〜、やっぱり愛美のは美味いにゃ〜」
「うん。美味しい」
「ありがとぉ〜」


そうして、青学コートに居る。
戻ってこない。
氷帝・立海のは持っていかない。
……もう、諦めたのかしら?


「……ま、いいわ……」


私はドリンクを手に持ってコートに行った。


「はい、ドリンク」
「おっ、貰うぜ」
「俺もッス!」
「さんきゅ〜」


皆が自分のドリンクを取る。
こんな日常的な事が
本当に、私を支えてくれてる。


「「「………」」」


今も、青学の視線が痛い。
でも貴方たちがいるから、全然平気。

何度…言葉にしても足らないくらい
本当に感謝してる―――


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