夢はいつか、覚めるもの。
夢を見ている間は、幸せになりたい。

私は、

それさえも、許されないのか……―――





私は何も言わず自分の家に入った。
中に入っても誰も居ない。
何も聞こえない。


「…結局、短い夢だったのよ」


そう、氷帝の皆との事は夢。


「合宿…」


これから起きるのが、本当の現実。
私の住む世界。


「………」


私は変わりそうになっただけ。
氷帝と出会って、少しだけ。

まだ、記憶はあの頃のまま。
今も、恐怖はあの頃のまま。
この、身体の傷もあの頃のまま。


「…痛…くない」


一番大きい古傷に触れてみる。
見るのも痛々しかったあの頃と違って、
今見れば単なる擦り傷と同じ。

「…また、会ってしまうのね」


夢であって欲しい。
でも、紛れも無い現実。

そんな事を思いながら私はベッドに寝転んだ。
そして、いつの間にか夢の中へと入り込んだ。

「…貴方の所為」
「全部…お前が悪い」
「…くん、が…」
「お前が……良か…んだ」
「そうだ、お前が…」
「この……し!」
「ひとご…し!」



「っ!」


私は飛び起きる。
魘されていたのか、身体中汗だらけ。


「はぁ…っ、はぁ…」


今のは…夢?
それとも、現実?
周りを見ると、いつもの自分の部屋。


「……朝、」


いくら時が過ぎても、私の想いはあの頃のまま。


「………」


着替えを済ませ学校へ向かう。


これが現実。
どうせ現実なら……。
覚めた、夢なら……。

私は……―――