知りたい。

なのに、何で…教えてくれない―――





跡部side



「はい、ドリンク」
「あぁ?ドリンクは練習の合間だけでいいぜ?」
「……あ、そっか」


…どこと勘違いしてやがる?


「ま、でも一応疲労回復用だから、飲んどいて損は無いわよ?」


疲労回復用…か。
お前、そこまでマネ業が出来るんだろ?
なら、何でここに来た?
前の所で役に立つだろ、その腕なら。
それに、何でここではやらなかったんだ?


「…お前、前はどこの学校だったんだ?」


咲乱に何を言っても無駄だということは分かる。
だが、疑問をぶつけてみた。


「……それを知るのなら私の過去を知ることになるわ」


知りたい。

お前の過去を。
お前に何があったのかを。


「俺は、お前の過去を知りたい」
「…却下。私は誰にも話す気なんかないわ」


一瞬だけ、咲乱の顔が寂しそうに、辛そうに変わった。
本当は…聞いて欲しいんじゃねぇのか?


「………」


俺は、聞くことを断念した。
……はっ、俺らしくねぇな。


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