もう、いいのかな……?

心の奥から溢れ出る、この気持ちを告げて―――





不二side



君に言いたいことは沢山ある。
僕の心の中のもの。
全て吐き出してしまいたい……。


「……教えて?」


だんだんと強くなる雨に打たれ、君は呟く。
周りの皆は、雰囲気を捉えて何も言わずにいてくれる。
……嫌だな、この雰囲気。


「…簡単でいい…。言ってくれたら、……すぐに消えるから」


視線が下を向いている。

……嗚呼、僕は………。



「ねぇ、真実は分かった?」



急に聞こえた、僕を捕らえている声。


「っ……愛美…!」
「だ、だめじゃないか…。こんなところに……」
「もう体調は良いわよ」


いつもの、か弱い雰囲気が無い。


「……ていうより、昨日から愛美は万全よ」


じっとり、絡みつくような声で言う。


「え……?」
「…………演技。……そう、全部演技よ」


愛美は静かに言った。
一瞬で、空気が変わる。


「演技……?昨日からの、体調が悪い、というのがか……?」
「それもあるけど。全部よ」


もう皆、気付いているだろう。
このオーラを出す愛美を見るのは、僕以外青学は初めてだろうから。


「……周助」


ゆっくりと、僕に近づいてくる。
僕は、動けない。


「……話したいのなら、話していいわよ?」


その言葉は、僕の呪縛を解くように優しかった。


「愛美……」
「……愛美は全然構わないわよ。もう、貴方なんて必要ないから」


平気を装う笑みを見せるけど、それは崩れてるよ。
もう、ずっと前から気付いていたかもしれない。
こういう日が、必ず来ると。


「っ不二……どういう意味だよ…?」
「愛美……?」


青学は、話の流れが掴めないようだ。


「……これから僕が全部話すよ」


青学の皆には、分かりやすく……。
目を、完全に覚ますように。
君たちが恋をし、守っていたのは空想の人物だったということを。


「…他の皆も、聞いておいたら?」


この、醜い……糸が複雑に絡まりあうような、僕達の気持ちを……―――