麻燐たちが戻った後、速やかに夕食が終わり、各部屋へと戻った。
今日の麻燐の部屋は、黒い人が二人も居ます!
もう一人は詐欺師……。
同室メンバー(宍戸のみ)はビクビクですね……。


「麻燐ちゃん、一緒に部屋に行こう?」
「うん!」


鳳が麻燐を誘う。
しっかりとその隣に宍戸もキープしています。
油断できない男、鳳。
ですが、その3人を見過ごさない男が他に居ます。


「鳳くん、先輩を差し置いてやだなぁ」
「気付かれんと思ったらいかんぜよ」


ちゃっかりと目の前に立つお二人。
こちらの二人には油断も隙もないですよね。


「さぁ麻燐ちゃん、迷子にならないように手を繋いで行こうか」


いえ、貴方達の部屋はこのまま真っ直ぐです。


「こら不二、やらしい顔で麻燐に触るんじゃなか」
「くす、麻燐ちゃんの手は可愛いね」
「聞けよ」


というか、麻燐の意見も聞いてあげてください。
嫌がってはいないですが……。
鳳が笑顔で不二を睨みます。
宍戸が大人げない喧嘩を呆れた目で眺めています。
麻燐だけでも救出してあげてください。


「ほら、みんなで行こ?」
「そうだね」


空いた片手を差し出すと、すかさず鳳が受け取る。
すたすたと歩き出す二人を、後ろから見る二人。


「おい仁王……お前、大変な幼馴染を持ったな」
「全くじゃ。競争率が高すぎる」
「(いや、そういう問題じゃなくて……)」


ほとんど周りは馬鹿ばっか、と言いたげに宍戸は肩を落とす。
宍戸……唯一の常識人として一夜を過ごしてください。





部屋に戻ると、早速決めるのはベッドの順。


「麻燐ちゃんは真ん中ですよね」
「いや、僕は端っこでもいいと思うよ」
「へえ……どうしてですか?」
「唯一の隣が僕になるからね」
「なんで不二さんが隣ということ前提なんですか」


どうして言い合いをしているのに笑顔なんでしょうか。
神経が信じられません。むしろ疑います。


「麻燐真ん中がいいー」
「いいよ。じゃあ、その隣は僕「ここは公平にじゃんけんじゃろ」


提案する仁王。
一瞬嫌な顔をした不二も、仕方なく了承する。


「いや、俺は別にいいんだけどよ……」


宍戸も強制参加。
不二と仁王には隣になってほしくないという鳳たっての願いです。


「「「じゃーんけーん……」」」


一斉に全員が鋭い目つきになる。


「「「ぽん!!」」」


麻燐が見守る中、それぞれ手を差し出す。


「あーっ今後出ししましたよね!」
「プリッ」
「くす、そういう鳳も最後まで迷ってたじゃない」
「激ダサだぜ……」


こういう子供らしいところも必要ですよね。
この後何回かやり直したじゃんけん。


「ねーじゃんけん麻燐もやりたーい!」


……ここの部屋は中学生らしくてとてもいいですね!


「まぁ、当然かな」
「麻燐の隣は俺しかいないぜよ」


結局決まったのは不二と仁王。
負けたのは鳳と宍戸ですね。


「宍戸さぁーん!負けてしまいましたぁー!」
「うおっ泣くなよんなくらいで!」


鳳も麻燐に対しては純粋なのです。
ここは他校が隣を勝ちました。


「くす、というわけで、僕と仁王が隣だよ」
「りょうかーい!」
「寂しかったら俺のベッドに来てもいいぜよ」
「えへへ、もう麻燐子供じゃないよー」


十分、純真無垢な子供ですよ。
たった1つ2つの年の差でこうも違うと……麻燐の爪の垢を煎じて飲ませたいです。

さて、次はみんな揃ってお風呂ですね。