「さて、これから結果発表を始めるよ」 集合は早いですね。 あっという間に初めの隊形に戻ってしまう皆さん。 前に立つのは先程まで青学の魔王と醜い言い争いをしていた立海の魔王。 そんなことを全く想像させないくらいの綺麗な笑みで皆の前に立ちました。 「まず、今回俺が見ている中では、やっぱり麻燐が一番捕まえていたね」 「えへへ、麻燐頑張ったよー!」 満面の笑顔を見せる麻燐に幸村もふふふと笑った。 そして改めて皆を見る。 「24人中、最後まで残ることができたのは5人だった。ふふ、皆麻燐に弱いんだから」 「(そう言う自分もやろ……!)」 幸村が捕まった時に一緒にいた忍足が心の中でツッコむ。 堂々とそんな言葉を言ったら公開処刑になってしまいますからね。 忍足はこの合宿で十分なほど学びました。 「それじゃあ、最後まで残った人物を発表するよ」 幸村が促すと、今回の隠れ鬼の勝者たちがずらっと並ぶ。 「えー手塚がかにゃ?意外ー!」 「ずりーぞマムシー!どーせ汚い手でも使ったんだろー」 「跡部もか。麻燐ちゃんのことになると執念深いなぁ」 「あはは。ジロー先輩はどうせずーーーーっと眠ってたんですよ」 「ブン太が他人を蹴落として残った確率97%」 一気にコメントが増えました。 皆さん悔しがっているご様子ですね。 ですが前に立っている人物の一部は完全に勝者の笑みを浮かべています。 「はっ!俺様がこんな遊戯ごときに負けるわけねえだろ、アーン?」 「あれぇ〜?そういう鳳は自分から行ったんでしょう?そういう甘えが命取りになるって知らなかった〜?」 特に氷帝は大分育ちが悪いようで。 こんな所に麻燐が居るといつか感染してしまいそうで恐ろしいです! 「ふふ、自己主張はいいからさっさと逝ってきな」 「「「(変換が違う!!)」」」 いつの間にか晴れた外を指差し、幸村さんはお怒りのようです。 自分が計画したのに自分は負けてしまったからですからね! それでも仕方ないので賞品は与えてます。 「それじゃあ手塚、午後の買い出しのリスト」 「ああ。責任を持って買ってこよう」 幸村から手塚へ買い出しリストの授与! 本当の賞状のように受け取る手塚はどこまで天然なんでしょうか。 「へへっ、赤也とジャッカルのおかげだぜっ」 「ぶー!ずるいッスよ!」 「戦いにずるいも何もないんだぜぃ」 買い出しの準備をしている5人に次々と絡みに行く皆さん。 麻燐はとっくに準備を済ましています。 「みんなー!早く早くっ!」 まるで旅行に行くみたいなはしゃぎ方の麻燐。 皆さんの父性本能がくすぐられますね。 「麻燐麻燐ー外は危ないから手繋いでいかないといけないCーっ」 動き出す芥川。 追う丸井。 道の脇の猫に心臓を鳴らす海堂。 リストに夢中で電信柱に気づかない手塚。 間違えて樺地を連れて行こうとする跡部。 こんなメンバーで大丈夫なのでしょうか? 「「「(ああ、羨ましい……!)」」」 残ることのできなかった敗者の皆様は誰もがそう思っていました。 楽しそうに笑っている麻燐の背中を見送り、幸村の掛声で練習に戻りましたとさ。 「でも、いいの?」 「何がだ?」 右手に芥川、左手に丸井を連れた麻燐が跡部に問い掛ける。 「だって、折角の合宿なのに、皆の練習の時間が減っちゃったんだよ?」 「麻燐、そういうのは気にしなくていいんだよ」 「買い出しなんて麻燐だけじゃ大変だろぃ?」 「へーきだよ!太郎ちゃんがいるから!」 「あんなおっさんすぐにへばっちゃうC」 芥川が笑顔で恐ろしいことを言っています。 それでも誰も反論しないのは真実だからでしょう。 「このくらいなら1時間もあれば終わるぞ」 あのあと結局電信柱にぶつかってしまった手塚。 おでこに麻燐の持っていたハート柄の絆創膏を貼っています。 それなのに真顔だから別の意味で恐ろしい。 「ぶちょーは青学の皆の心配してないの?」 「ああ、今は大石がやってくれているだろう」 「そっか!秀ちゃんは良い人だもんね!」 鬼ごっこの時に張ってもらった絆創膏を眺める麻燐。 自分が捕まってしまうことを顧みず麻燐を助けたその勇気。 丸井にも教えてあげたいところです。 「ねーねー、薫ちゃん」 「……あ?」 まだその呼び方に慣れていないのか少し照れながらの反応。 分かりづらいでしょうが恥ずかしがってます! 「さっきお庭に居た猫さんに、首輪みたいなの買っていってあげようよ!」 「!……お前……」 「あの猫さんね、麻燐も何回か見たの。麻燐、お家で猫さん飼ってるから首輪がないと寂しそうに見えるの」 「……ああ、そうだな」 麻燐の優しさにふっと微笑む海堂。 周りの空気も和ませています。 「よし、なら俺様が買ってやろう。麻燐の優しさに免じてな!」 何故か高笑いの跡部。 樺地がいなくて安定していないのでしょうか。 「跡部、着いたぞ。早速買い物だ」 「アーン?何で俺様が」 あなた何しにきたんですか! 本来の目的はあくまで買い出しですよ。 「はいっ景ちゃん先輩カゴ持って!」 「お、おい麻燐……」 跡部の言葉も聞かずに麻燐はカゴを跡部に渡した。 「ねー跡部、お菓子いれていいー?」 「あっ俺もー」 「お前らな……紙に書いてあるやつ以外は買わねえ!」 「跡部、ドリンクの材料はこれでいいか?」 「ん?ああ、それでいいんじゃねえのか?」 「景ちゃん先輩ー、ドリンクに100%のオレンジジュース入れたらおいし?」 「麻燐、オレンジとドリンクは相性が合わないから無しだ」 「んじゃあグレープは?」 「フルーツはドリンクと合わないから無しだ」 傍から見ていると家族のようですね。 跡部→母 手塚→父 丸井・芥川→双子 麻燐→一人娘 微笑ましいです。 さて、麻燐に構っている間にカゴにお菓子が溜まっていきますよ。 さり気に手塚もたけのこの里入れてます。 跡部は麻燐の対応に手いっぱい! さて、結局どうなるのか楽しみなところです。 ×
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