「何でついてくるんだい?」 「それはこっちのセリフだよ」 10分経ってようやく部屋から出た4人。 忍足はうんざりした様子で深い溜息をついた。 「ねぇねぇ、次はどこを探しに行く?」 その中麻燐の明るい声が問うと、いがみ合ってた二人はすぐに振り向き、 「そうだね……誰を捕まえようかな」 場所ではなく人物を言うところが怖いです。 なんですかね、黒い人は専用のセンサーでも付いているんですかね。 「僕はとりあえず青学に絞ろうかな。僕を差し置いて残ってるなんて、いけないからね」 不二もその辺りは疑問はないのか、笑いながら言う。 あんた一体何様ですか……「何か文句でもある?傍観者は黙って見てればいいんだよ」 いやあの、傍観者って……私はナレーターですよ!? 「はっ」 ……鼻で笑われてしまった。 不二さん、あんたそんなこともできたんですね。 「俺も今回は不二と似たような意見かな。まずは真田から探さないと」 「ん?もしかして、残ってる真田に嫉妬?」 「そんなわけはないだろう。笑えない冗談はやめてくれるかい?」 「んーと、じゃあ二人の目的は違うから……別行動……?」 麻燐が二人を見上げると、当のお二人も顔を見合わせた。 「そうなるね。じゃあ麻燐、俺と一緒に……」 「なんでそうなるかな。麻燐は立海の人間じゃないよ?」 「でも、青学でもないよ」 「うん、麻燐は氷帝だよ!」 ほら、と自分の着ているユニフォームを少し引っ張って見せる。 その可愛らしい行動に二人の口元は自然と緩んだ。 「ってことは、麻燐ちゃんは俺と……」 「それじゃあ仕方ないね。俺のジャージを着れば立派な立海生だよ」 「何言ってるの。それなら僕のを貸してあげるよ」 忍足はナチュラルにスルーですね。 お二人があまりにも忍足をいじめるので忍足は体操座りをして「の」を書き始めました。 それでも気にしないお二人。 「?麻燐、寒くないから平気だよ?」 「くす、その天然具合も愛らしいね」 「全く、ずっと傍に置いておきたいくらいにね」 せんせー、不二くんと幸村くんが危ないことを考えてまーす。 ああ、きっと頭の中で変な妄想を繰り広げ…「「君と一緒にしないでくれるかな?」」 !? 「あっ!麻燐、まだ見てないところがあった!」 麻燐はポン、と手を打って急いでその場所に向かう。 じゃあね、と3人に短くお別れを言って。 3人は呆然と立ちつくします。 「………走る姿も可愛いね。くす、逃げないように首輪を掛けておきたいよ」 「不二、麻燐で勝手に妄想しないでくれるかい?」 「………」 麻燐が見てないということで、パワーアップした睨み合いが始まった。 体操座りをしていた忍足はその光景を見て悟った。 「(まだこんなとこに居ったら命がいくつあっても足りへんわ……!)」 麻燐も居らへんし別んとこ行こかー、というノリで立ち上がってそろそろと逃げました。 残ったお二人は……まぁ、勝手にやっててください。 さて、この辺で村人のまま残っている人物を確認しましょう。 青学…手塚、河村、桃城、海堂、越前。 氷帝…跡部、芥川、日吉、樺地。 立海…真田、丸井、桑原。 結構残っていますね。 意外と思われる人物もちらほらと。 やっぱり存在感が薄いと隠れ鬼では有利……っと、これ以上言ったら失礼ですね。 まぁ、青学と立海は二大魔王が探しにいくので命が危ないとして……期待大なのは氷帝でしょうかね。 鳳は傍に宍戸が居るので本領発揮はしないとして。 計算黒の芥川はまだ隠れていますしね。 まあ、どの人も頑張ってください! 「あっ!あそこに居るのは……!」 移動中の麻燐が見つけたもの、それは。 「………ウス」 こちらもまた移動中らしい樺地でした。 目が合った瞬間に麻燐は楽しそうに走る。 そして、 「樺ちゃんつーかまえた!」 助走をつけ樺地へと飛び乗りました。 対する樺地は全く動じない。 もはや遊園地にあるパンダ等の乗り物状態です。 「何してたの?」 「……自分は……そろそろ捕まった方がいいと……」 「?そうなんだ」 空気を読む樺地。 自分が残るより他の人が残った方が良いという樺地の優しい優しい気持ちですね。 頑張って生き残ろうとして汚い手を使った人たちにも言い聞かせたいですね。 「じゃあ、樺ちゃんも鬼ね!」 「ウス」 飛び乗っている 麻燐が樺地にも角をつけてあげた。 意外と似合ってます。 「んじゃあ樺ちゃん、一緒に探しに行こう?」 「ウス」 麻燐をおぶったまま、樺地は歩き出しました。 探す方向は上から麻燐が指示しています。 こう見えても先輩後輩です。 ×
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