「たるんどるぞ!さっさと起きんか!」


……今日の朝もうるさくなりそうです。
この声はもちろん真田。
今の時間は………早朝4時。


「ん……ふぁ〜……。………真田」


幸村が真田の声に起こされる。
どうやら起こされたのは麻燐以外全員のようです。


「なんだ、またかよ……」


跡部が不機嫌そうに真田を見る。
手塚は眼鏡を探しています。
樺地は遠目から真田を見守ってます。


「今日こそ皆で朝から体を動かそうではないか!」


どうやらこのパターンは今日だけのことではないようです。
やっと頭が目覚めたような幸村が真田に対して笑みを浮かべた。


「真田……何度言ったら分かるの?」
「幸村……。だが、俺はいつもこのくらいに起き「それに俺たちを巻き込まないでくれるかな?」


聞き飽きた、とでも言うように真田の言葉を遮る。
その様子を跡部は溜息をついて、樺地は無関心で見ていた。
手塚はようやく眼鏡を見つけたようです。
麻燐はぐっすり眠っています。


「君は合宿中くらい俺達に合わせることはできないの?しかも今日は麻燐だっているんだよ?君のそのワンパターンな声に起こされるこっちの身にもなってみなよ。また俺が倒れちゃったらどう責任とってくれるの?もしそうなったら君を訴えて二度と俺達の前に現れなくするよ」


………えーと。ツッコミどころ満載ですね。
朝になるといつもの3倍くらいお黒いですね。
しかも今日は麻燐もいるということで、毒舌も2割増しのようです。


「幸村……俺は、そこまで皆に迷惑を……」


ダメージより反省の方が大きいみたいですね。
流石の真田も冷汗が額から顎へと伝っています。


「……よし、そこまで言うのなら朝から運動は止めよう。今日は雨も降っていることだしな」
「「「!?」」」


真田以外の4人は窓を見ました。
そういえば、さっきから何か音がすると思ったら……雨粒が窓を叩く音だったようです。


「マジかよ……。本当に雨降りやがった」
「麻燐さんが………悲しみます」
「あんなに願っていたのにな」


3人は顔を苦くしました。


「時間は4時半……練習が始まる8時頃には止むといいが」
「それはどうだろうね。この雨は……これから降ってきそうだよ」


幸村は窓の外をじっと見つめて呟きました。


「……つーことは、今日の練習内容は変更か」


跡部がつまらなさそうに言う。
幸村は跡部の方を見て、


「それなら心配ないよ。もう考えてあるからね」
「何…!流石幸村だ。先の見通しが凄…「君とは話してないよ」……そうか」


肩を落とす真田。
真田の方を見ずにきっぱりと言う幸村。
寝起きで機嫌が悪いというのもありますが、まだ先程のことを許してはいなさそうですね。
他3人はこれでよく立海は今までやってこれたな、と密かに思いました。


「手塚はともかく、跡部にはそう思われたくないよ」
「………わ、悪い」


跡部も色々な意味でぶっ飛んでますからね。
幸村の機嫌の悪さを目の当たりにした跡部は珍しく素直に謝ります。


「じゃあ、今日の練習内容を今のうちに話しておくから、朝食を食べ終わったら説明できるようにしてね」


幸村はまだ寝ている麻燐以外を集めて今日の練習内容を話しました。
それが麻燐や他の人たちにとって幸か不幸かは……後で身を持って分かることでしょう。


「む〜〜……ん、」
「「「(可愛い……)」」」


幸村の説明を聞いている間、4人は少し麻燐の方が気になりました。
時々可愛らしい寝息を立てているのが聞こえると、どうしても見てしまいますね。
幸村はそれに気付いたものの、自分もちらちら見てしまっているので何も言いません。

あとは、雨と知った麻燐をどう慰めるかを話し合いました。