「ねぇねぇ、景ちゃん先輩!」
「アーン?なんだ?」
「景ちゃん先輩にとって、腕時計ってどんな存在?」
「…いきなりなんだ?」


部活中、突然麻燐は跡部に聞いた。
部活中にたるんどる!とかは気にしない。


「心理テストだよ!答えて〜!」
「…ふん、いいだろう。ま、俺様くらいに忙しくなると腕時計は無いと困るな」


楽しそうに跡部の返答を待つ麻燐を見て、跡部も気が良くなったのか何故か得意げに答えます。


「なるほど…。じゃじゃん!それは彼女に対して思ってる事だよっ」
「………」


答えを聞き、麻燐もまた得意げに答えを言います。


「つまり、景ちゃん先輩は彼女は無いと困るくらい必要なんだねっ!」
「……(ま、確かに、無いと困る…っつーか心配だがな)」


ちらりと麻燐を見る跡部。
いえいえ、麻燐はあなたの彼女ではないですけどね。


「そんなに大切なんだね!」


麻燐ちゃん、自分の事とは全く思わない。


「ん〜なんや?自分ら、心理テストやっとるん?」
「心理テスト?懐かしいですね」
「あ?俺はやった事ねぇぜ」
「あっ、皆!」
「俺らも混ぜてーな」
「俺も俺もっ!」
「俺もやるC〜」
「勿論いいよっ!」


二人が話していることに気付いた皆さんがわらわらとやってきました。
という事でレギュラー+麻燐で心理テスト開始です。


「えーと、校庭にタイムカプセルがありました!さて、それは何年前の物でしょう?」
「せやなぁ、ほな20年前や」


忍足、20年前。


「俺は16年前!」


向日、16年前……細かい。


「うーん、30年くらい前か?」


宍戸は30年前。どうやら適当みたいです。


「俺様は50年だ」


跡部、50年前。


「それなら俺は87年前で」


鳳、87年前……なんて細かい…。


「……60年前」


日吉、先輩より前にして下剋上か!?


「じゃー俺は99年前だC〜!」


芥川……細かい。


「ふむふむ…樺ちゃん先輩は?」
「……100年前…です」


わお、一番キリがいい!


「で、結果は何なん?」
「えーとね、恋のライバルに勝てる確率!」
「「「………」」」


あらら…。


「アーン?その答え、間違ってんじゃねぇのか?」
「せや、俺が20%なんてありえへん!」
「ガーン!俺侑士より下かよ!」
「…なんや、俺に負けるのが一番嫌みたいな言い方やな」
「ったりまえじゃん!」
「……!!」


まさかの即答で忍足ショックです。


「(60%……跡部さん達には勝った!)」


日吉、下剋上達成!ひそかにガッツポーズをしています。


「俺99%だC〜!皆に勝ったー!」


芥川は皆に向けて勝ち誇った顔。
嬉しかったみたいですね。


「…ちっ、87%……」


鳳、黒いオーラが出てきてますよ〜。


「樺ちゃん先輩100%だったよね!おめでとう!」
「…ウス」
「「「(えっ!てことは樺地より下!?)」」」


皆さん、樺地に負けてるようです。
ある程度自信があったようですが、麻燐の樺地への懐きようは皆さん一目置いてますからね。
当たらずも遠からずというような気がして複雑そうです。


「ま、所詮心理テストだがな」
「せや、本当とは限らへん!」


皆さん自分に言い聞かせてます。分かりやすいですね。


「んー……?もしかして、皆は同じ人が好きなの?」
「「「………」」」


それはお前だよっ!と心の中で突っ込む。


「えー、だれだれ?りーちゃん?」
「「「(誰だりーちゃんって……)」」」


どうやら麻燐的にはりーちゃんという人物が心当たりあるようです。
全くの検討外れですが。


「違うの?それじゃあ誰だろ……教えてよー!」
「そ、そんなことより、続きやろーぜ?」


クイズの解答をしているように考える麻燐に対し、上手く話を逸らす宍戸。


「まだこれ、読み終わってねーんだろ?」


向日が麻燐から心理テストBOOKを取る。


「あー!麻燐が皆に出すー!」
「「「だーめ」」」


皆さんこれ以上心を探られるのが嫌みたいです。
たとえ心理テストでもショックなんでしょうね。意外と繊細です。


「へぇ、結構いろんなのがのってるんだな」


向日がペラペラとページをめくる。


「どれどれ?…うわ、こんなことまでかよ!?」


宍戸…一体何を見つけたんだ。


「よし!俺が出したる!」


忍足が向日から本を奪い、ページをめくる。


「んー、よし、これにしよ。……動物園でキリンを撫でてあげたあなた。初めに撫でたのはどこ?」
「キリンさん?んーと、そうだなぁ…」


忍足、なんかニヤニヤしてます。
ちなみに、忍足以外は答えを知りません。


「えーと……ほっぺ!」
「……へぇ〜、なるほどなぁ〜」


挙手をして答えた麻燐の言葉を聞き、一人にやつく忍足。
それにしびれを切らした短気な向日が忍足を肘でこつきます。


「おい、結果なんだよ」
「それは、キスされて嬉しいとこや」
「「「まじか」」」


答えに対して異様に食いつく皆さん。
皆さんも大概変人ですね。


「え〜?麻燐、そうなのかなぁ?やったことないから合ってるか分かんないよ?」
「やってみたら分かるで!」


満面の笑顔で麻燐に向け両手を広げる忍足。


「忍足、麻燐に近づくな」
「なんでや!」
「危ねぇ」
「う…そんな景ちゃん怖いなぁ」
「うぜえ」


跡部、景ちゃん呼びも相まって忍足に対しては黒いです。
それだけ麻燐ちゃんを愛してるってことですね!


「つ、次いこうぜ!」


この空気に耐えられない向日が話を変えました。



心理テスト前半戦終了。




心理テスト〜前編〜
(心理テストでも皆本気なんだぜ……by向日)