「お、麻燐じゃん。起きるの早ぇな」
「あ、りょー先輩!」
「おはよう、麻燐ちゃん」
「チョタ先輩も!おはよっ」


食堂には結構な人が集まっていた。
その中で麻燐は器用に色んな人に挨拶をする。


「麻燐、おはよう」
「あ、ゆきちゃん!おはよっ!」
「ふふ、昨日……いや、昨晩、何かあったね?」


出会って数秒なのに確信済みですか!?


「ん?昨日の夜……?」
「うん。そうだなぁ……ヒントをあげるとね、」


クイズ形式にしちゃってます。


「麻燐ちゃんの学校の先輩……何て言ったっけ、3年寝太郎?」
「さんねんねたろう?」


幸村……分かって言ってますね。
ふふっと笑うお姿がとても怖いです。


「……お、おい、幸村……」


ここで勇者……丸井の登場です。
今の幸村に意見できるのは丸井しかいない!


「なに怒ってんだ……?」
「ブン太、おかしなことを言うね。俺は怒ってなんかいないよ。昨日何があったのかを聞きたいだけなんだから」


早口で言いました。
丸井はそれ以上言えず、苦笑いでいます。


「あっれー?立海の幸村じゃん!なーにしてんのっ?」
「っひゃあ、ジロ先輩!」


あてつけなのか、天然なのか。
……いや、100%前者だろうけど。
芥川が麻燐に後ろから抱きつきながら幸村に話しかけました。


「……ふふふ、芥川。君、麻燐に何かしたでしょ」
「んー?別にぃ」
「ゆきちゃん?ジロ先輩は、何もしてないよ」
「ただちょっと一緒に寝ただけだC〜」
「「「(悪い返答きたーー!!)」」」


いつの間にか麻燐の周りの会話を聞いていた皆が心の中でツッコみました。


「ふうん……。俺の麻燐に手出しちゃったんだ?」
「誰が幸村のだC〜。麻燐は、俺と一番仲がいいから当然のことだよぉ?」
「ゆきちゃん?ジロ先輩?」


二人を交互に見る麻燐。


「「「(もしかして、黒に気づいて……!)」」」


周りの人が生唾を飲む。
その気持ちに気付いている不二や鳳辺りはくすっ、と笑っていた。


「二人って、仲が良かったんだね!」


ほぼ全員がずっこけそうになりました。
麻燐にはそう見えるのでしょう。
幸村と芥川は笑顔で会話(冷戦状態)をしているのですから。


「……ふふ、まあいいよ。今日は俺の部屋だからね」
「ふーん。じゃあ、今日は幸村の近くで昨日の麻燐の様子を暴露っちゃおっかなー」
「「「(嫌な攻撃だし!)」」」


同室だからこそ味わった楽しさ。
幸村は震える怒りを麻燐の前だからと押さえた。
もう食事どころではないです。


「好きにすれば?でも、俺の半径10メートル以内に近づいたら………ふふっ」
「「「(続き言えよーー!!)」」」


とてつもなく気になる人たち。
自分のことではないのに近づくのは止めようと思っているみたいです。


「しょうがないなぁ」


どうやら言い争いは終わったみたいです。
芥川は麻燐から離れて、


「麻燐ー!こっちで朝食食べよっ」
「あ、うん!」


何気に幸村から奪いました。


「………」
「「「………」」」


今日の朝食、幸村の周りはおぞましい空気に包まれていました。
緊張しながらの朝食……ちゃんと喉を通ったのでしょうか?
何はともあれ合宿は3日目、折り返し地点です。
何が起きるのか楽しみですね。