「あれ?そういえば、麻燐の格好可愛いC〜」


芥川に連れ去られた麻燐は只今氷帝コートにいました。
さっきまでは幸村たちから麻燐を奪うことに集中して気付かなかったのか、改めて麻燐を見た芥川が言う。
そして勿論ここには、


「アーン?麻燐……どうしたんだ?」


保護者なこの人が居ます。


「麻燐……か!?」


純情なこの人も居ます。


「麻燐ちゃん!やばい、襲いたくなってくるわ……」


汚れきったこの人も居ます。


「誰が汚れきっとんねん!」


貴方以外に誰がいるんですか。


「そんなことはどうでもいい。麻燐……その格好はどうしたんだ」
「泡から着替えたの!」
「………」


跡部、今回も麻燐に説明を求めるのは諦めました。


「おい、早く来いっ」
「待ってよ、日吉〜」
「お前が余計な喧嘩売ってるからだろ!」


丁度良く来たのは日吉と鳳。
うまくあの人たちを撒いたみたいですね。


「あ、お前ら……」


宍戸が二人を見て言う。
洗濯物の関係で何かを知っているのだろうと感じたようです。


「何があったんだ?」
「それが……」


鳳は先程の出来事を話しました。


「ほう、それで、日吉のジャージを着てると……」
「………」


跡部が日吉を睨みました。嫉妬ですね。


「ワンピースみたいで萌えるわぁ」
「えへへー、わか先輩のジャージね、おっきくてあったかいの!」


袖からは手が出ない状態で裾は膝上15p………完璧です。


「へ〜、日吉が貸すなんて珍しいな」
「……俺しか居なかったんです」


向日が麻燐の格好を見ながら言いました。
それに日吉は溜息交じりで呟く。


「なぁなぁ麻燐ちゃ「お前は口を開くな」ひっど!」


まともな言葉があなたの口から出るとは思えません。
同様に思った跡部が言葉を遮るが、忍足はめげません。


「ちゃんとまともやで!あんな、麻燐ちゃん。さっきボール打っててんけど、そのボール拾ってきれくれへん?」


少し胡散臭いですが笑みを浮かべて言いました。


「いいよー!おっしごとおっしごとー」


麻燐は小走りでボールの沢山落ちているコートに向かいました。
頼られると嬉しく思う麻燐のことをよく分かっています。


「な、まともやろ?」
「……どーだか」
「絶対何か考えてる顔ですね」
「侑士……」
「がっくんそんな悲しい顔せんといて」


跡部や鳳は怪しんでいるのか忍足を睨みます。
そして向日はすでに失望の表情を向けています。


「……ねー忍足、さっきから麻燐の方ガン見してどーしたの?」


芥川が忍足に近づいて言いました。


「しっ!今しゃがんでボールを拾う麻燐ちゃんの姿を見てるんやから!」
「何で?」
「んなもん麻燐ちゃんのパンチラを見るた、め……」


その言葉を聞いた瞬間に眉を寄せる跡部。
つい口を滑らした、という顔をする忍足。


「てめぇ……やっぱりそんなこと考えてんじゃねーか!」
「堪忍や!しゃーないやん!俺男やもん!」


男は男でも、宍戸はそんなこと考えません。


「俺と比べんなよ!」


はいそこ、こちらに話しかけない。


「男っちゅーんはこういうもんやろ!」


あなたは変態の塊です。


「侑士……そろそろ、ダブルス解散するか?」
「何言うとん!?」


妥当です。
まだ常識人な向日でも、忍足の最近の言動は目に余るようです。


「……俺、日吉とダブルス組みてえ」
「……俺はシングルスがいいんですが」


しみじみと遠い方向を見て言う二人。


「うっ……ええもん!俺はシングルスできるもん!」
「てか、忍足の代わりに滝入れたらぁ?」
「っジロー!」
「……考えてみるか」
「跡部まで!」


忍足はコートの隅で蹲りましたとさ。
時折鳳のスカッドサーブが当たりますが練習なので仕方ないですね。


「これって、虐めちゃう?」


忍足の呟きは風に乗って消されましたとさ。