「んんーっ!合宿2日目っ、天気は晴れー!」


麻燐の様子で分かると思いますが、合宿2日目の朝です。


「ほらほらっ!綺麗な空〜」


一人だけハイテンションでベッドの上を飛び回り、更に窓を開ける。


「………朝から可愛ぇなぁ」
「………フシュ……(うるせぇ)」
「………」


こちらは朝は弱い組なのか元気がありません。
越前に至っては半分寝ています。


「………(ね、ねみー)」
「………(全然眠れなかった)」


切原と日吉はずっと戦ってたんでしょうか。
お互い目が開きません。本末転倒ですね。


「どうしたの?皆元気ないよー?」
「「「(元気がいいのは麻燐だけだ)」」」


朝にはそこまで強くないはずの麻燐が何故。
やはり、合宿で楽しいからでしょうか。


「今日も1日頑張ろー!」


麻燐の元気につられ、他5人も起きて支度をした。





「………なんだ、お前ら。さっぱりしねえ顔だな」


食堂で集まった頃、宍戸が麻燐と同室だった5人の顔を見て言った。
とはいっても、苦労人な宍戸は大体のことは察しています。


「麻燐ちゃん、大丈夫だった?」
「んぇ?」


会って早々安否の確認ですか。
鳳も結構麻燐ちゃんの保護者に適役っぽいです。


「……日吉、どうだった?」


まだ額を片手で押さえている日吉に跡部が話しかけた。


「あ……はい、何とか抑えましたよ」


ふう、と答えた日吉。
その二人のやり取りに気付いた切原が日吉に聞く。


「何の話してんだ?」
「同室って決まった時に跡部さんから頼まれたんだ。忍足さんが妙なことをしないように見張ってくれってな」
「俺の居らん間に何を話しとんねん」
「別に目の前で話してもいいんですよ?」
「……いや、やっぱ止めてくれ」


日吉、忍足のツッコミの上を行く。


「赤也、お前さん、麻燐に変なことしてないじゃろうな?」
「何もしてないッスよ!」
「どうも信用ならん」
「なら麻燐に直接聞いたらどうッスか」
「麻燐はどんなことをされても大抵『何ともない』で済ます。俺の体験じゃ」
「仁王先輩の方が危ないじゃないッスか!」


可愛い幼馴染の為です。


「ふふ、越前……僕より先だからって、調子に乗らないでよ」
「別に乗ってないッス」
「そんなこと言って、僕には分かるよ。君の表情が勝ち誇っているのが」
「妙な被害妄想を押し付けないでくださいよ」
「でもまぁ、僕も楽しむつもりだからね。君の抜け駆けも今日で終わりだよ」
「(………ああもう面倒臭い)」


醜い嫉妬を後輩に押し付ける不二。大人げないです。
よほど悔しかったというか、羨ましかったのでしょう。


「いいねぇ、初日っから麻燐と同室でよ〜」
「……うるせえ」
「とか何とか言っちゃって。可愛いとか思ったんだろ?」
「……桃城、喧嘩なら買ってやるぜ」
「おう、上等じゃねーか!」
「やんのか!」


海堂をからかい、案の定喧嘩に発展しそうな二人。この二人も飽きないですね。
麻燐と一夜過ごしただけで大騒動です。


「桃城、海堂!宿舎の周りを走りたいか?」
「「すんませんでした」」


ですが手塚の一喝ですぐにいい争いは収まりました。
もはや反射条件に近い反応でした。


「くす、手塚も気にしてるみたいだけどね」
「あ〜あ、早く俺の番来ないかにゃ〜?」
「英二のところが終わったらお別れだけどね」
「にゃ!」


痛いところをつきますね魔王様は。

それから適当に席に座り朝食を済ませた。
やはり麻燐の周りは乱闘でしたけど。
合宿2日目の今日は何が起きるんでしょうか。