「……忍足さん、寝相はいい方ですか?」
「ん?そうやな……ええ方やけど」
「それなら、上を向いたまま、安らかに眠って下さい」
「なんか二度と目覚めんような言い方やな」


結局、日吉の隣に忍足が眠ることになりました。
決まったと同時に、越前はベッドに横になり既に爆睡状態です。


「間違っても、麻燐に変なことはしないでくださいね」
「何も寝込みは襲わへんて〜」


はは、と言う忍足。


「「「………」」」
「……なんや、その不信感に満ち溢れた眼差しは」


どうやら、誰も信用できないようです。


「すると自分ら、俺が寝込みを襲うような奴に見えるんか?」
「「「………」」」
「今度は全員で静かに頷いたな」


皆さんの気持ちが分かります。
忍足は少し自分の胸に手を当てて考えた方がいいと思いますよ。


「……早く寝ようぜ」


雰囲気に耐えかねた海堂が切り出した。


「そうだな。……1年たちも眠ったし」


越前が眠る少し前、場所を決めている間に眠ってしまった麻燐。


「それじゃ、電気消すぜ〜」
「ああ」


切原が電気を消し、真っ暗になった部屋。
……と言っても、少し暗闇に慣れてくると隣の人の顔くらいは見えます。

今度こそ静かになったと思いきや……。


「……ん、んぅ〜…」


上を向いて寝ていた麻燐が日吉の方を向きました。
まだ起きていた日吉はう、と驚く。


「………(むっ)」


すると、こちらも起きていた切原が麻燐の顔を自分の方に向けました。
悔しいんでしょうね。


「………」


カチンと来た日吉がまた自分の方に向ける。


「………」
「………」


麻燐の寝顔を見たい切原と、寝顔はラッキー程度で切原に負けたくない日吉。
この静かな争いはしばらく続きそうです。


「………ふしゅ…」
「……かる…ぴん……」
「〜〜麻燐ちゃん……」


他の3人は熟睡中。
誰もこの戦いを止める人は居ません。


「(こういう時くらい譲れよっ)」
「(なんか気に入らない)」


夜でも麻燐争奪戦は続きそうです。
昼夜問わず、忙しい人たちですね。