「きーもちいー!」


麻燐ちゃん、家のお風呂より大きいお風呂に興奮気味。
特別な気がして楽しいんでしょうね。


「……でも、一人だとやっぱり寂しいな……」


大きな浴場に、ポツンと一人は誰でも寂しいですよね。
まさに、そんな状況。


「う〜〜っ、早く出ちゃえっ!」


麻燐は素早く洗うのを済ますと、着替えて外に出ました。


「あっ、皆!」
「お、麻燐!意外に早かったな〜」
「だってね、一人でお風呂って寂しくて……」
「あー、そうやろ思うたわ。今度こそは一緒に……「あ、そろそろ古武術の練習しないと」……指を鳴らしながら俺を見んといてや!」


力が入ってますよ。
忍足も何度も何度も懲りませんね。


「つか、麻燐のパジャマ可愛いな〜」
「ほんと?これね、麻燐のお気に入りなの!」


腕を広げて苺柄のパジャマを見せる麻燐。


「あー……癒されるわぁ。麻燐ちゃんならキャミとか涼しげな恰好するかと思うてんけどな」


無防備な薄着姿を期待していたとすぐに分かる忍足の声。
切原と海堂は引き、日吉は背後で拳を作っていますよ。


「でも……まだ少し夜は寒いし、もし風邪とかひいちゃったら皆に迷惑がかかるでしょ?」


にこっ、と微笑みながら言う麻燐。
この言葉に皆さん思わず麻燐を見つめ、


「「「(マネに対する想いは人1倍だな)」」」


麻燐につられるように5人も微笑みました。


「っあ!海堂が笑ってる!」
「……珍しいッスね」
「なっ、そんなんじゃねぇ……!」
「おい、逃げんなよーっ!」


照れか、海堂が早歩きで部屋に戻った。
それを面白そうにからかいながら切原がついていきます。


「あ、待ってよーっ!」


更に麻燐も続く。
なので、忍足、日吉、越前も部屋に戻ることにしました。





「ん〜〜っ、ふぁ……」


少し落ち着き、それぞれのリラックスタイム。


「ふっ……はっ……」
「………(こく、こく)」
「………」
「………すー……」
「……ええなぁ、麻燐ちゃん」


さて。
皆さんが何をしているのかというと。
麻燐は眠そうに目を擦っています。
海堂は一人部屋の隅で筋トレ。
切原も眠いのか、首が船を漕いでます。
日吉は黙々と読書。
越前は勝手に一人で爆睡中。そこは麻燐のベッドですが。
忍足は麻燐を見て何かを呟いてます。

この事から、それぞれの性格が丸分かりですね!


「ねぇ〜、もう寝ようよぉ……」


限界なのか、皆に呼びかける麻燐。


「……もう、か?」


海堂が言う。
普段は今以上のトレーニングをこなしているため、まだ続けていたんですね。


「俺は賛成〜〜。ふぁ…」


切原は言いながら欠伸がでてます。
今日はいつも以上にしごかれていましたからね。


「……そうだな。睡眠時間は多く取った方がいい」


日吉が読んでいた本をパタン、と閉じました。
合宿はまだ始まったばかりですからね、早めに身体を休めたほうがいいでしょう。


「……まぁ、たまにはいいか」


続いて海堂もトレーニングをやめる。
麻燐の眠そうな顔を見ると、反対する気も失せたようです。


「リョーマくん起きてー?」
「ん……朝?」
「違うよ、もう寝る時間なの。でもそこ麻燐のベッドだから起きてー」
「………ん」


寝惚けながらも、上半身を起こした越前。


「よーし麻燐ちゃん。一緒に寝よな?」
「忍足さん。朝決めたでしょう。貴方は床です」
「あれ、俺そんな扱いやったっけ!?」


驚いた忍足が思わず日吉を見る。
床ではないですが隣でもないですよ。


「麻燐はぁ……真ん中〜〜」


ごろん、と転がり大の字になる麻燐。


「よし、俺もっ!」


その隣のベッドに切原も横になる。


「えへへ、皆と寝るの初めてで楽しみ〜」


こう寝転がると非日常をより感じるのか、少し飛び跳ねる麻燐。


「……寝るのか遊ぶのかどっちかにしろ」
「うーんと、寝る〜!」
「なら、じっとしてろ」
「あい!」


大人しくなった麻燐の横に日吉も横になる。


「よし、なら俺も……」
「忍足さんはあっちですよ」
「何言ってんだよ、あっちッスよ」


さて、両方拒否中。
忍足がどっち側に寝るかでまた問題発生です。
端っこというのは決めましたが、どちらのとは決めていませんでしたね。
越前は寝惚け眼を擦りながら行く末を眺めています。


「日吉、お前の学校の先輩なんだからお前の横だろ」
「こういう時こそ他校とスキンシップを取ったらどうだ」


お互い睨み合いながら淡々と言い放つ。


「まぁまぁ、俺の取り合いは……」
「「全く違います」」


どうどうと当の本人が止めに入りますが、一刀両断されました。


「……フシュー」
「……いい加減、眠いんだけど」


海堂はどうしていいか分からず。
既にダウンしかけの越前は苛々し始めています。


「ん……?あれぇ?寝ないの?」
「もう少しだから、麻燐は先に寝てていいぜ」
「ああ、なるべく静かに事を済ます」


何だかこれから何かが起きるような言い方ですね。
さて、どちらになるか……。

というか、忍足嫌がられすぎです。