「エビフライ貰いっ」
「あぁー!麻燐のエビフライっ!」


麻燐のお皿にあったエビフライを隣の丸井が奪いました。


「ブンちゃんひどいよぉ〜!楽しみに取っておいたのにぃ…」


麻燐は下を向いてしまいました。


「しゃーねーなぁ。じゃ、俺のエビフライやるよっ!」
「ほんとっ?ありがと、ブンちゃん!」
「「「(結局中身変わってねえじゃん)」」」


そう思いつつ、そのやり取りが羨ましいと思ってる人たち。


「……あれ?まーくん、食べないの?」


目の前で頬杖をつきずっと麻燐を見ている仁王に話しかけました。


「ああ。もうお腹いっぱいじゃ」


ふ、と微笑む仁王。
どうやら、別の意味でお腹一杯になったようです。


「「「(正面もずるいな……。というか、仁王のあんな顔は初めて見た……)」」」


人の事を気にするより早く食べましょう。
ちなみに、麻燐限定ですよ、あの顔は。


「ほれ、苺やる」
「えっいいの?」
「いいぜよ。麻燐は苺が好きじゃろ?」
「うん!」
「なら、あーんしんしゃい」
「あーん」


フォークの先に刺さった苺を麻燐はパク、と食べました。


「おいひぃ〜」


満面の笑みで苺を味わいました。
その顔を見た麻燐と向かい合ってる席の人たちは、


「「「っ…!(か、可愛いっ)」」」


一斉に顔が赤くなりました。単純ですね。
ですがそれ程の破壊力を麻燐は持っています。


「「「(くそっ…次は絶対に勝ってやる!!)」」」


運悪く麻燐の後ろに座ってる方々は拳を握り締めていました。
ほとんどが油断していた氷帝の人です。
世の中は常に弱肉強食だと思い知らされましたね。


「ふぅ…お腹いっぱぁい」
「ん〜?もう終わりか?」
「うん!…わぁ、赤也たくさん食べてる〜」
「まーなっ。あ、そうだ。麻燐のジュース貰っていーか?俺の無くなっちまったんだよな〜」
「そうなの?いいよっ」
「サンキュー」


切原は麻燐のジュースを貰いました。
ちなみに、ストローがあります。
てことはつまりあれです。
いわゆる、間接チュー。


「「「(赤也(切原)の奴っ!!)」」」


切原は純粋にジュース狙いだったようですが、しばらく怒涛の殺気を感じたような。
男の嫉妬は怖いですねー。

その後の午後の練習では集中的に切原が狙われたみたいです。
仁王や丸井はいつも通りです。
贔屓ですよね〜。
次も麻燐付近席三方向争奪戦が行われそうです。


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