「皆ぁ〜!ドリンク持ってきたよ〜っ」
「ああ、貰うぜ」
「サンキュな。味は大丈夫か?」


宍戸、いきなりそれを聞くなんて失礼な。


「大丈夫ですよ、宍戸さん。麻燐ちゃんはどっかの黒縁みたいなことはしませんから」
「ん?黒縁?」


氷帝って経験したことありましたっけ?
何故鳳が知っているのかは知りませんが、触れないでおきましょう。


「ん〜〜美味しE〜!」


一番に飲んだのは芥川でした。


「ほんとっ?やったあっ!」


麻燐、大喜び。
褒められるのは嬉しいんでしょうね。


「樺地、ご苦労だったな」
「ウス」


味の感想を聞いた跡部は安心したのか、樺地にお礼を言ってます。
インサイト、お疲れ様!


「ほんまに美味いなぁ。麻燐ちゃんの愛を感じるわ〜」
「えへへ〜」
「麻燐ちゃん、今度から忍足さんのドリンクに味噌を入れていいよ」
「なんでや!?あれか、愛のムチか!俺だけ可哀想やろっ!」


しっかりとドリンクを味わっている忍足。
麻燐も嬉しそうに、少し照れながら笑います。
それが不満なのか、鳳が清々しい笑顔で言いました。


「お味噌?えーと……あ、合わせ?」
「ううん。赤味噌」
「味噌の種類の問題ちゃうねん」


赤味噌が一番味が濃そうですからね。


「侑士!ミソを馬鹿にすんなよなっ!」
「いや、馬鹿にはしてへんけど」


向日のプライドですかね。
……ミソの?


「……あれ?わか先輩、凄い汗だよ〜?」


少し後ろでドリンクを飲んでいる日吉。
麻燐の視線に気付きました。


「……気にするな」


日吉は目を逸らしました。


「……?」
「麻燐ちゃん、日吉はね、練習熱心だから今すっごく疲れてるんだよ」
「へえ……。じゃあ、麻燐が汗拭いてあげるっ!」
「ばっ、な、何言って……」


丁度タオルを持っていた麻燐。
日吉に近づけました。


「う〜〜っ」


日吉が身体を仰け反らせてる所為か、麻燐は日吉の顔まで届かない。


「……日吉、屈んでやれ」
「……は?」


その姿を見て、跡部が言った。
うーん、保護者!


「……はぁ、しょうがないな……」


日吉は少し膝を曲げた。


「あっ、届いたっ!」


笑って、日吉の汗を拭いてあげる麻燐。


「「「(日吉ばっかり……っ!)」」」


皆さんが妬かないわけがありません。


「麻燐ちゃん!俺も練習して汗が……「忍足さんはだめですよ。ロリコン臭が移りますから」……ひどっ!」


忍足を押し、前に出てきたのは鳳。
まぁ、いつものパターンですね。


「麻燐ちゃんの邪魔をしてはいけませんよ、忍足さん」


そして、さっきとは全く違う笑みを浮かべる鳳。
なんとも爽やかです。
鳳は頑張っている人を応援している麻燐の姿を見るのが好きなんでしょう。


「それもそうだぜ、忍足。麻燐には仕事があるんだからな」


宍戸も続けて言う。
麻燐の優しさを優先してあげたいのでしょう。


「……なんやその真剣な顔は」


これならいつもみたいにツッコまれた方がいいと思う忍足でした。
いつまで経っても不憫な人ですね。


「それじゃあ、次青学の人たちに渡してくる〜!」
「うん、行ってらっしゃい」
「頑張れよー」


氷帝の皆にに見送られ、麻燐は部室に戻った。
そして、新しいドリンクを持って今度は青学へと旅立ちました。


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