「よーし、まずは皆の為にドリンクを作ってあげよう!」


麻燐ちゃん、気合充分です。


「えーっと……運動が終わった後に飲むんだよね……」


どんなのがいいか考えてます。
……できれば机の上にあるレシピを見て作って欲しいです。


「そうだ!疲れてる時は、甘いものが一番だよねっ!」


ああああああ……!!
……誰か、今すぐ麻燐ちゃんの手伝いをしてあげてください。
でないと、乾汁とは別の意味で叫ぶことになりそうです。


「えーと……ん?これ、なんだろ?」


机の上にあったミキサーという名の機械に近づきます。


「うーん……あ、これ知ってる!中にいろいろ入れてジュースにしちゃう道具だ!」


いろいろの中身にもよります。
さて、麻燐は何を入れる気でしょうか。


「えーと……甘いもの……あ、フルーツとか入れたら美味しいよね!」


かごに入ったフルーツ(何故あるかは不明)をミキサーに入れる麻燐。


「りんごと、桃と、バナナと、オレンジと………………ドリアン?」


何でドリアンまであるんですか。


「あれ?何か張ってある。これ……何て読むのかなぁ?えーと……か、かわき…?」


よかった、読めました!
……じゃなくて。
乾(いぬい)です麻燐ちゃん。
……てことは。


「んー……ま、いっか」


よくありません。麻燐ちゃんのポジティブシンキングがこんなところで悪影響を。
誰かーーー!!


「あっ、隠し味も入れてあげよっ!」


何を入れるつもりですか……?


「えへへ……ぶちょーの好きなたけのこの里!」


ミキサーにお菓子を入れちゃだめですっ!
誰か来てくださあああいっ!!


「ウス」


樺地!
救世主!


「あ、樺ちゃん先輩!まだドリンクできてないよー?」
「……手伝いに、来ました」


多分跡部に様子を見て来いと言われたと思います。
跡部、大正解だよ。
これで全員の命が救われました。


「でもねっ、後はこれを混ぜるだけだよっ」


麻燐が笑顔でミキサーの中身を見せました。


「…………!」


樺地の目が動きました!
余程衝撃的だったんでしょう。


「えへへ、隠し味のことは内緒ねっ」
「……麻燐さん」
「ん?なぁに?」
「……ここに……レシピが……」


机にあったレシピを麻燐に渡す。


「えーと……?あっ、ドリンクの材料が書いてあるっ!」
「ウス」
「じゃあ、ここに書いてある通りに作ればいいの?」
「ウス」


どうやら分かってもらえたようですね。


「ん〜〜……でも、こっちの方が甘いよ?」
「……スポーツの後は……サッパリした味の方が……」


自分が皆の為に考えたドリンクをと食い下がる麻燐。
ですが、ここは樺地も引けません。


「そっちの方が疲れなくなるの?」
「……ウス」
「う〜ん、分かった!じゃあこっちで作る!」


皆のことを考えてレシピ通りに作ることにした麻燐。
樺地、お疲れ様!





「できたっ」


樺地のサポートもあって無事にドリンクが出来上がりました。


「ありがと、樺ちゃん先輩!」
「ウス」


さあ、後は皆に届けて来ましょう。


「よーし、麻燐、届けてくるね!」
「……自分も……」
「樺ちゃん先輩は練習があるんだよね?麻燐が届けてくるよ〜!」
「……ウス」


少し心配な目だったが、麻燐の優しさを素直に受け取る樺地。


「まずはー……やっぱり氷帝の皆の所に行こっと。樺ちゃん先輩、一緒に行こ〜!」
「ウス」


半分樺地にドリンクを持ってもらって、氷帝のコートへ向かいました。