「皆さん。忍足を大切にしましょう!」

「あ、もうこんな時間か。練習行くぞ」
「そうだな」
「麻燐〜。一緒に行こうぜっ」
「うん!」
「言った傍から無視するんやないっ!」


部屋で『忍足を大切に』宣言をする忍足と関わりたくありません。


「ゆーし先輩も一緒に行こうっ?」
「麻燐ちゃん……っ」


でも、麻燐ちゃんは優しく接してあげてました。
黒いオーラが見えないように変態オーラも見えないんでしょうね。


「変態オーラてなんやねん!」


貴方の存在です。
あと、私に話しかけないで下さい。


「ゆーし先輩?おいてくよー?」
「今行くでー!」


麻燐に話しかけられると反応早いですね。
ということで、皆はコートの方に向かいました。





「ねぇねぇ、景ちゃん先輩」
「ん?何だ、麻燐」
「マネージャーのお仕事って、何をやればいいの?」
「「「………」」」


平然と聞く麻燐に周りはシーンとなりました。


「……麻燐、仕事やったことねぇの?」


切原までも驚いたのかそう聞きます。


「うーん。あんまりない……かなぁ?」


それもそうです。
いつもレギュラー陣と遊んでいるからです。
麻燐のせいじゃなく、レギュラー陣のせいですね。
それに加え、まだマネージャーになって日が浅いということもありますが。


「しょうがないなぁ。じゃあ、俺が教えてあげるよ」
「くす、幸村じゃ麻燐の身が危ないよ。僕が教えてあげる」
「違うCー。麻燐は俺と昼寝するのっ!」


黒い人は別で言い争っててください。
あと芥川は場の状況を読んでください。
……それともわざとですか?


「えっとね、麻燐ちゃんの仕事は、俺たちの応援だよ」
「長太郎、何か違ぇだろ」


鳳は真面目な顔して言わないで下さい。


「ったく、どいつもこいつも……。麻燐、仕事はな……。麻燐のやれる仕事は……」


跡部、少し失礼ですよ。
だが悩ましいのか、深く考えている様子。


「……そうだな、ドリンク作り、洗濯……くらいか?」


聞かないで下さい。
貴方が決めることでしょう。氷帝の部長さん。


「ドリンクと洗濯?うん、分かった!」


笑顔で頷く麻燐。
それに反比例するように心配そうな顔をするのは全員。


「麻燐、大丈夫かの?」
「大丈夫だよ。皆の為に頑張るからっ」


仁王の問いかけにもにっこりと答える麻燐。
元気よく部室の方に走っていきました。





「……スコアやコートの準備はやれる奴でやれ」


麻燐には少し無理だと思った仕事。
頭を使ったり力を使う仕事はまだ難しいでしょうね。


「それよりさ、跡部」
「あん?何だ、幸村」
「麻燐がマネージャーになってから、何をしてたの?」


どうも気になる様子。それも当然です。


「……どうでもいいだろう。俺たちはゆっくり時間をかけて教える主義だ」


うまく誤魔化そうとしていますね。
言ったら殺されますから、ねきっと。


「俺の麻燐に手ぇ出しとったんかのう?」


ちなみに貴方のではありません。


「おっ、俺たちは手なんか出してねぇぜっ!ゆ、侑士が!」
「何で俺やねんっ!」


保身の為に仲間を売る向日。とはいってもほとんど事実なんですけどね。
忍足は自分の胸に手を当てて聞いてみてください。


「……まぁいいよ。最後に笑うのは俺だからね」


何の宣言ですか、魔王様。
あれですか、宣戦布告ですか。


「幸村だけには渡さんぜよ」


何とか幸村だけは避けたい様子の仁王。気持ちは分かります。


「ふふ、じゃあ僕がもらおうかな」


ひょこっと出てきた不二。


「お前さんも嫌じゃ」


腹黒全面的否定の仁王。本当に嫌そうな顔をしています。


「何だか熱いね」
「そうだね、タカさん」


ほのぼのと見守ってるのは青学の母とお寿司屋さん。癒されますね。


「ふむ……。蓮二、誰が勝利を得ると思う?」
「明確な確率ではないが、立海メンバーの勝率98%だ」
「む……。いや、青学メンバーの確率99%だ」


何ですか、その微妙さは。
データというよりは感情面で意識した数値っぽいです。


「……何だか頭が痛くなってくる会話してんな」
「そうですね。確率なんて俺がひっくり返してあげるのに」


いちいち面倒だなと宍戸が頭を掻く。
その隣で鳳は笑顔で怖いこと言っています。


「……なぁ、真田」
「……何だ、手塚」
「練習を始めてもいいだろうか」
「……俺はそうした方がいいと思うぞ」


というか、練習をするための合宿ですから。
誰かが言い出さないと誰も動きませんよ。
パチン!


「おいてめぇら!さっさと練習始めやがれ!」


跡部、指パッチンで何とか静めました。
この先がとてつもなく不安です。