「とうちゃーくっ」


無事、合宿所に到着。
麻燐ちゃんも、わくわくして目が覚めたみたいです。


「あー!もう誰か居るよー!」


バスから降りると早速団体を見つけたのか、楽しそうに駆けていきます。


「あ、麻燐っ、走るな!」
「みんなぁー!早く早くぅ!」


笑顔で手招きをする麻燐。
普段以上に明るい表情に水を差すことができなかったのか、仕方なく、皆で走って行きました。


「くす。会いたかったよ、麻燐ちゃん」
「よぉ、1日振りだなっ!」
「おっはよーだにゃ!」
「おはよ!麻燐も会いたかった!」


先に着いていたのは青学でした。
昨日の今日ですが、お互いに大分打ち解けていますね。


「ふん。早いじゃねぇの、青学」
「……皆が早く行きたいと言うものでな」


跡部が鼻を鳴らしながら言うと、手塚が何とも言えなさそうに腕を組んで答えた。
皆、麻燐ちゃんに会いたかったんですね。


「クソクソ菊丸!麻燐に触るなっ!」
「にゃにおうっ!向日だって、チビのくせに!」
「チビ関係ねぇじゃんかー!」


お互いをライバル視している向日と菊丸は到着早々言い合いです。
ですが子供みたいで可愛らしい言い合いですね。


「ぶちょー!」


麻燐が手塚に向けて手を振りました。


「……おい、氷帝の部長は俺様だぜ?」


手塚の隣で跡部が不満そうに呟く。
麻燐が呼んでいるのは青学の部長です。
今まで跡部は麻燐に部長と呼ばれたことはほとんどないですからね。


「何だ、麻燐」
「今日もね、たけのこの里持って来たの!」
「……ほう、俺にくれるのか?」
「うん!あとで一緒に食べようね!」
「ああ」
「「「(何気に約束したっ!?)」」」


手塚は天然ですから。
そんなに大事なこととは思ってません。


「おい手塚!それは俺がやったんだぜ」


跡部……今言いたいことはそれですか?


「……そうだったのか、ありがとう」
「……っ」


横やりのつもりが素直にお礼を言われ、思わず驚いてしまいます。
調子が狂いますね。


「麻燐ー、本当ちっちゃくて可愛いなぁ!」


桃城が麻燐の頭をポンポン触りました。


「越前と同じ位じゃね?」
「……は?何言ってんスか。俺の方が高いッスよ」
「あはは〜、麻燐が一番ちっちゃい〜?」


周りから比べると、親子みたいですね。
皆、常識を超えた大きさですから。


「くす、本当……食べちゃいたいくらい可愛いよね」


一瞬、周りの温度が急低下しました。
表情といい声音といい冗談に聞こえません。


「不二さん、麻燐ちゃんは俺たちのマネージャーですからね」
「くす、そういう設定の方が燃えるでしょ?」


設定て。あと燃えないでください。
思いっきりライバル宣言しちゃってます。


「俺だって麻燐のことすっげぇ好きだC〜」


そう言って、麻燐に抱きつきました。


「ふふ、芥川くん、離れた方が身の為だよ?」


芥川……不二が物凄い勢いで睨んでますよ。


「へへーん、やれるもんならやってみたらぁ?」


ですが芥川も芥川。肝が据わっています。
二人の間に火花が散ってます。


「……もう、口出せねぇよな」
「…そうですね。余計なことには巻き込まれたくありませんから」


ああなっては仕方がない。宍戸と日吉は溜息交じりに呟きます。


「面白そうだな、俺も混ざってこよ」


二人の隣からひょっこりと顔を出しずかずかと不二と芥川の間に入り込むのは鳳。
鳳は同族性ですからね。先輩だろうが怯みません。
宍戸と日吉は、もう止めまい。


「ふしゅ〜……」
「あは、は……賑やかすぎるかな……?」
「そ、そうだね……」
「ふむ。だが、いいデータが取れる」


青学も話についていけず。
比較的穏やかで常識人が多いですからね、巻き込んでほしくはないです。
こんな状況ですが、あとは立海を待ちましょう!