「おっはよー!」
「……麻燐、もうちょっと普通に現れる事が出来ねぇのか?」


翌朝。麻燐ちゃん、朝から跡部に飛びついてのご挨拶。
跡部はそう言いつつも引きはがすことがないため、嫌なわけではなさそうです。


「えっへへー」
「それにしても、やけにテンション高いな」
「……合宿だからだろ」


見ていた宍戸が呆れがちに言うと、跡部も小さく溜息をついた。
麻燐が楽しそうなのはいいことですが、その分心配も尽きないわけで。


「うんっ!麻燐、お泊り大好きー」
「麻燐ちゃん、夜は俺の部屋に……ぐほぁっ!!」


忍足は朝から相変わらずの変態発言。
そして、朝から跡部に蹴飛ばされた。


「侑士、きもい」
「麻燐ちゃんの貞操の危機ですからね」


向日も相方の扱いには慣れて来たのか、端的に言い放ちます。
鳳、間違ってはいないとはいえストレートに言わないでください。


「……はぁ(付いていけねぇ)」


いつも以上に騒々しい様子に呆れる宍戸。


「………(本当にこれからが心配だ)」


すでに未来が見えている日吉。遠い目で朝の良い青空を見上げます。
始まる前から不安ですね。


「おっ、バスが来たぜ!」


向日がお得意のジャンプでバスを見つけました。


「あぁっ!本当だ〜」


麻燐ちゃん、真っ先にバスに向かいました。


「おいっ、麻燐!お前が行かなくてもバスがこっちに……」
「麻燐ちゃんっ、俺の隣に座ってや〜」
「麻燐、忍足の隣なんかに座るな。俺様の隣に来い」
「くそくそ!麻燐は俺の隣だ!」


宍戸のツッコミも空しく、ほとんど全員が向かって来るバスに向かって走っていきました。


「いっちばーん!」


麻燐ちゃんが一番に着きました。


「おっ、元気な中坊たちだな!ほら、乗りな!」


運転手さん、とても爽やかにバスに乗せてくれました。


「はーい!よろしくねー!」
「おうっ、嬢ちゃん、元気がいいねぇ!」
「運転手さんも爽やかだね!」


どうやらお互い気の合うご様子。


「麻燐っ、俺の隣に!」
「くそくそっ、侑士邪魔!」
「おい、んな所で暴れんな……!」


入り口が忍足と岳人で塞がれて居ます。
醜い争いですね。


「麻燐この席〜!」


麻燐ちゃん、前から2番目の席の窓側に座りました。


「じゃあ俺麻燐のと〜なりっ」
「「「なっ、いつの間に!?」」」
「後ろのドアが開いてたC〜」
「「「あっ……」」」


皆さん、馬鹿ですね。
まぁ、恋は盲目と言いますからね……。