「ふぁ〜〜お腹いっぱい」
「久しぶりにあんなに食ったぜ〜」


満腹になった皆がさっきの部屋に戻ってきました。
そして、一息ついていると、

コンコン。


「…開いている。入れ」


跡部が言って、入ってきたのはメイドさん。


「先程言われたお菓子の方を持って参りました」


どうやら、麻燐用にと持ってくるように言ったみたいですね。


「わぁい!ありがとう!」
「いえ。どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」


メイドさんは綺麗に微笑むと、部屋から出て行った。


「……ねぇねぇ、景ちゃん先輩」
「何だ、麻燐」
「今の人って、何をする人なの?」
「あん?メイドのことか?そうだな……まぁ、簡単に言うと家事だとか、そういうのだな」
「へぇ〜、凄いんだねぇ」


麻燐、感心しているみたいです。


「あともうちょいスカートが短かったらええねんけどなぁ……」


忍足の発言はもはやスルーで。


「……麻燐、このお菓子、後でさっきのお姉さんにあげてくる!」
「えっ?いいのか?」
「麻燐がそんなこと言うなんて珍しいな」
「そうかなぁ?あのお姉さん、お仕事頑張りますよーにって」
「麻燐ちゃんは優しいね」
「えへへ」
「ああ。さっきのメイドも喜ぶだろうよ」


跡部が、麻燐の頭を撫でた。


「うん!」


麻燐も喜んでいるみたいです。





「………ふぁ…」


麻燐が眠たそうにあくびをしました。


「麻燐、もう寝るか?」
「うん……」


今にも寝そうな顔です。


「俺も眠たくなってきたC〜〜……」


芥川も大きなあくびをしました。


「……まあ、こんだけ遊んだらな……」


どうやら、あの後随分遊んだみたいです。
周りにトランプやら人生ゲームやらカルタやらがちらかってます。
……この遊び道具、跡部の物ではありませんよ?
全て、皆が持参してきて物です。


「んぅ……」


麻燐が近くのベッドに潜り込みました。


「麻燐ちゃん、俺が添い寝したろか?」


息を荒くして言わないで下さい。
そんなの、周りの人が許すわけないでしょう。


「忍足さん、一番端っこのベッドで寝てください
「ひ、贔屓やん!」
「麻燐の安全の為だ」
「俺ってどういう扱いやねん!」


元々こういう扱いですよ?


「うぅ………」


泣き真似しても無駄ですというかキモイです。


「……つか、寝るの早ぇな」


麻燐はすぴーと寝てます。
その隣のベッドで、芥川も寝てます。


「……何か、妹ができたみてぇだ」
「岳人先輩の場合、岳人先輩より小さい人はそう居ませんからね」
「なっ、そ、そういう意味じゃねぇよっ」
「……静かにしてください。起きますよ」


もぞもぞと麻燐が寝返りを打ちました。
その度に「んみゅ…」とか言ってます。


「……も、もう寝ようぜ」


何時の間にか麻燐のベッド付近に集まってた皆。
宍戸が言うと、皆がそれぞれのベッドに広がりました。
そして、跡部が電気を消し、静かに眠りにつきました。





次の日。


「景ちゃん先輩のお家、楽しかったあ!」


ギリギリまで寝ていたのか、寝癖がぴょんと立っている麻燐。


「また今度泊まろうぜ」


麻燐と違い、髪が真っ直ぐの向日。
どうやら、朝はしっかりと整えるようです。


「そうやなぁ、今度は麻燐ちゃんの家に行って見たいわ」
「あ〜俺もだC〜」
「え〜?麻燐の家、何もないよ〜?」
「麻燐が居るだけで充分や」
「そう?んじゃあ、また今度ね!」


そして、玄関。
また、メイドさんやら執事さんがずらりと並んでいます。


「……あ!お姉ちゃん!」


その中で、どうやら昨日のメイドさんを見つけたようです。


「?どうなされました?」
「あのね、お姉さんにこれあげる!」


そう言って取り出したのはきのこの山。
もはや、麻燐にとってきのこの山は仲良しの印。
引っ越した時に配るおそばのようなものです。


「えっ……わ、私にですか?」
「うん!これからも、お仕事頑張ってね!」
「……ふふ、ありがとうございます」


また、綺麗に微笑んだ。


「じゃーねー!」


大きく手を振ってあとベッキンガム宮殿に挨拶をする麻燐。


「……ったく、何で俺様が送らないといけないんだ」
「しゃあないやん。麻燐ちゃんが居るんやし?」
「……お前らだけだったら絶対に送らねぇけどな」


麻燐のことが心配なんです。

そして、この後は一人一人の家を回って、最後に麻燐の家に向かったようです。





お泊り! 後編
(……何か、全部に驚きだったぜ……by宍戸)