俺は今まで、ずっと君のことを守ってきたよ。
それはもう…ガラスでできた人形を扱うかのように…大切に、大切にね。
だから君は俺を慕ってくれたし、俺も君を愛してきた。
俺は君の為ならこの命も惜しくない。
この手で、君を一生守り続けたい。
俺は…世界で一番、君を愛しているから。
それなのに、今君は何て言った?

「………今の言葉、本当なの?」
「うん。私ね…日吉くんと付き合うことになったの」

嬉しそうに俺に報告してくる君。
その言葉は、今まで俺が君にしてきたことを裏切る言葉だった。

「………嘘じゃ、ない?」
「?なんで嘘を言わなきゃいけないの?一番の友達に、一番に報告してるのに」

一番の友達?
それは、どういう意味なのかな。
俺はこれだけ君を愛してきたのに。
俺は。俺は。君だけを。なのに。君は。日吉を?

「鳳くんなら、喜んでくれるでしょ?」

ああ、だめだよ。そんなこと言わないで。
俺が今まで何の為に君を守ってきたと思うの?
素敵な君だから。君を手に入れようとする蠅にも劣る輩共はたくさんいたよ。
下駄箱に入っていた手紙。何通灰にしたと思っているの?
君を呼び出そうとした奴らを、何人病院送りにしたと思っているの?
君に好意を持っている人間を…一体、何人消したと思っているの?

「……俺はね、嬉しいよ」
「本当?やっぱり、鳳くんは分かってくれると思ってた!」

無邪気な顔で笑う君。
どうしてもっと、その綺麗な笑顔を俺だけに向けてくれなかったの?
俺の気持ちに気付くどころか、他の男と付き合うなんて。
君はどうして、俺を裏切るの?俺の気持ちを踏み躙るの?
でも……おかげで、決心がついたよ。
今まで俺が弱いせいで、他人に押し付けるばかりだった君への溢れる愛。
それをようやく、全て君に向ける勇気が出たから。

「逃げるなら今だよ」
「え?」
「今から俺が3数えるまでに、逃げて」
「それって…どういう、」
「いち、」

意味が分からない、という目で俺を突き刺すように見つめる君。
その驚いた顔すら愛しい。早く俺の物にしたいと思う。

「にい、」

何か言いたそうだね?
だけどそれは声にならず焦りを生み出すだけ。
君は優しいから。そしてかなりの鈍感だから。
一番の友達≠ナある俺から逃げるなんてことしないよね。

「さん」

そんなこと分かってたよ。
分かってたから、君に手を出せなかったんだ。
俺が本気で、君に気持ちを伝えたら。この愛を行動に移したら。

「もう、逃がさないよ」

俺は、君が壊れるまで、求め続けてしまうと分かっていたから。
もう俺は君が泣こうが喚こうが……構わない。
俺の手から離れようとするなんて、俺の愛しい君はしないよね?
俺の愛する君は、ずっと俺の手の中で。
一生、一生。
俺に守られ続けていればいいんだよ。
何も考えなくていい。ただ代償として傍に居てくれたらいいだけ。

ねえ、
狂った俺に愛される覚悟はできた?





俺が正常でいられる時間。

どうしたの、そんな恐ろしいものでも見るような目で見て。
何も怖いことなんてしないよ。
ただ、俺なりの方法で君を大切にするだけだから。
………愛してる。