「なぁ、痛い?」

そう聞くと、先輩は凄く切なそうな顔で頷く。
足をガクガク震えさせて。
ああ、可愛ぇ。

「ぅっ……ひ、かる……」
「なに?先輩」

顔を覗き込むと、先輩の口の端から血が流れているのが分かった。
ああ、そうか。痛いんだ。
目に涙を浮かばせて、この行為を止めてほしいと言っているんだ。
その顔がめっさ可愛くて。
もう本当に、愛しさが止まらなくて。

「先輩……ほんま、愛くるしいッスわ」

俺は先輩の口の端から出ている血を舌で拭う。
先輩は少し痛みを感じたのか、眉を寄せる。
俺はそのまま先輩にキスをした。

「ぁう……っん、……っつ」

キスをしながら唇の端の傷を弄ると、先輩はまた辛そうに顔を歪める。
キスに、鉄の味が混ざる。
そして、身体にある痣を指で押す。

「っ……!!」

先輩は悲鳴をあげようとしたが、俺に口を封じられているからできない。
結局、眼から涙を流して眉を寄せるだけ。

「っ……先輩、その顔……可愛え」

俺はその顔が本当に好きだ。
微笑みより、笑顔より、怒った顔より、
その……辛そうで痛々しくて切ない……絶望した表情。
大好き。
ほんま、
愛してる。

「先輩……もっと、その顔見せて……」

見せてくれたら、先輩の好きなことしてあげる。
手を繋いでデートもしたるし、
キスもいっぱいしたる。
望むなら、それ以上のことも
先輩が満足するまでしてあげるよ。

だからほら、

もっと泣いて。





うん、その顔好き。もっと見せて。

さぁ、先輩は何をして欲しい?