――傷つけたい。

「ほら……もっといい声で啼いて」
「ぅぐっ………あぁ゙、」
「うん…いいね、その声」

散々傷つけた後、その傷を踏むと良い声で啼く。
掠れた声。乱れた吐息。血の滲む白い肌。
全てが僕を欲情させる…。
あ、ほんのり桃色の唇の端から血が流れてる。
なんて綺麗なんだろう。

――壊したい。

「ねぇ、僕を好きって言ってごらんよ」
「…………す、き」
「ん?聞こえないよ」
「…好き………」
「ふふ、僕は君のこと玩具以下だと思ってるけどね」

ぐしゃぐしゃになった髪を掴み、そう吐き捨てる。
涙で潤んでいる瞳が僕を虚ろ気に見上げて。
小さく動く口からは予想通りの言葉。
それを切り裂くように僕は冷たい言葉を吐く。
彼女は一筋の涙を流す。
彼女の期待を裏切って、裏切って、心を支配する。

―――抱きしめたい。

「………」
「っ………」
「……明日も、来るんだよ」

彼女を起き上がらせてぎゅっと抱きしめる。
そうして優しく囁けば、もう彼女は逃げられない。
僕から離れることはできない。
僕が彼女を必要とする限り、彼女は僕に従う。
だから明日も明後日も、彼女は僕の傍に居る。

永遠に。





傷つけたい、壊したい、抱きしめたい。