▼ ××的恋愛しましょ!
最初は興味が無かった。
――――高橋 恭平
同じクラスの人気者……いや、¨学校中の¨と言った方が正しい。
容姿、学力、人柄、どれをとっても素晴らしい彼は、常に注目の的。
俺の通う学校は、男子校にも関わらず恋愛感情で近付く者も少なくない。
勿論、単純に親しくなりたいと言う奴だっている。
それでも、彼に近付く人間の目は、一様にギラついていて、俺は逆に、冷静……且つ、無関心だった。
そんな彼と初めて話したのは、2年に進級して直ぐ、同じクラスになった時の事。
あの日、俺が購買へ向かう途中、必死に走る高橋と出くわした。
多分、ファンに追われてんだな。
興味も助ける気も更々無かった俺は、高橋の横を通り過ぎようとした……が、タイミング良く彼は転んだ。
そりゃもう度派手に!!
思わず手を差し出す程、酷い有り様だった……
「おい、大丈夫か?……ホラ」
「……?」
「手、摩擦で血出てっから拭けよ。」
「あ、ありがとう。」
ポケットにあったティッシュを手渡すと、キョトン顔で見上げられた。
『血を拭け』と言えば、阿呆臭い笑顔で礼を言われ、何となく…………むず痒い。
結局俺は、怪我人をそのままに出来ず、ファンを騙し、高橋を逃がすまでしてやった。
それからだ……俺の視界に高橋と……その友人が入るようになったのは。
「ま、松下!!」
「………………高橋?」
「良かったら、少し話しさない?」
業間休み……あと数分でチャイムが鳴る時、高橋に声をかけられた。
彼と話したのは、あの日が最初で最後……珍しい事もあるもんだ。
もしかして……¨見過ぎ¨たか?
「……突然どうして?」
「っ無理にとは言わないけど、仲良く……松下と仲良くなりたいから!!」
――――!?!?
正直、驚いた。
そんな事を言われるとは夢にも思わない……
けど、良かった。
これで¨きっかけ¨が出来る。
「そうか、俺で良ければ……是非。」
『すげぇ嬉しい!!』と笑う彼に、俺の本心を見せる訳にはいかない。
俺の為、彼の為、そう直感的に思ったんだ……
11.0510