▼ ××的恋愛しましょ!


最近、背中に熱い視線を感じる。
その視線を辿れば、8割方あいつが居て、目が合うと多分……笑ってくれた。
そして直ぐに目を逸らす。

正直、見られる事には慣れている。
けど、俺は周りのネットリとした視線が大嫌いだ。
なのに、あいつの視線だけは……嫌じゃない……寧ろ、嬉しい。
それは多分、あいつが他の連中とは違うって事を、知っているから。



「なぁ、慎也……どう思う?」

「んん、何が?」

「ほら、前から言ってる例の視線。」

「ああ、それが?」

「だから……その……あいつにさ、結構好かれてたりするのかな、俺。」



隣の席に座る友人に訊ねれば、『うーん……』と小さく唸り、3列後ろのあいつを盗み見た。



「ど、どう?」

「あーーー……」

「っお、俺の勘違い!?」



煮え切らない友人の態度に不安が募り、小声で話していた為、元々近かった距離を、更に詰めて問い掛けた。



「恭平近い。……俺は、あいつじゃないから分からないけど、何らかの好意は持たれてるんじゃないか?今もこっちを見てるし…………」

「ほ、本当かよ!?」

「本当、本当。まぁ、何にしても、お前が嫌われる事はないだろ。この学校の人気者で、王子様で、アイドル…………だっけか?」

「…………別に、嬉しくねぇよ。」



俺の通う高校は、所謂男子校。
全寮制ではないから、校外に彼女有りも沢山居る。
そんな中、一部じゃ同性愛とやらに目覚める奴も居て、俺は今まで、そう言った連中の標的にされて来た。
勿論、俺は至って普通、ノーマルだ。
その他にも、俺を餌に合コンを開かれたり、躍起になって近付くは、最低な奴ばかり。



「…………気になるのか?」

「…………少し、だけ。」

「へぇ、珍しいな。……まぁ、この学校じゃ変わった性癖の奴も居るが、普通の友達になるとしても、待ってるだけじゃ仲良くなれないぞ?」

「っ!!わ、分かってるよ。」

「そ。じゃあ、ホラ!行って来い。あと5分は休み時間だ。」



トンっと背中を押され、立ち上がる。



「っわ!!」



…………ええい!!こうなったら男は度胸だ!!
ガッツリ話しかけて、バッチリ友達になってやる!!
そうと決まれば、高橋 恭平、行きますっ!!



11.0506
 
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