▼ 浮気×冷静


人並みに恋はして来た。
恋をすれば、その人とキスがしたいし、その先だってしたいと思う。
けど、付き合いたいとは思わない。
1人を縛り、縛られる意味が、必要が、何処にある?



「深坂、これで浮気は5回目だ。」

「浮気?嫌だなあ、浅野。俺は1回だって浮気をした覚えは無いよ。」

「……どっかの女と致す事は……浮気じゃないと?」

「じゃないね。浮気かどうか……それは価値観の違いでしょ?俺は、女の子を抱いたからって浮気になるとは思わない。」

「……そうか。お前に浮気だと問い詰めるのは無理そうだな。」



俺と浅野は、世間一般で言う恋人同士。
高3の終わりから、大学2年の現在まで続いている。
告って来たのは浅野で、付き合ってほしいと言われたから付き合った。
男同士、とは深く考えなかった……俺も浅野が好きだったから。
けど、浅野が一番じゃない……好きに順位は付けられない。
あの子も、その子も、世界は好きで溢れてる。
それなのに、恋人と言う肩書きがあるだけで、他の好きを捨てなきゃならない、そんなのって可笑しいと思わない?



「深坂……今日で、別れよう。」

「良いよ、分かった。」



こうして、恋人同士の付き合いは終わった。
けど、問題は無い。
恋人じゃないからって、浅野を嫌ったりはしないし、学校でだって毎日会う。
今まで通り……いつも通り。



――――――――――



「浅野、今日の昼はどうする?」

「ん、食堂行って食うわ。」

「そう、じゃあ俺も一緒に行く。」



ほら、何も変わらない。
別れた次の日だって、普通に話すし、昼も食う。
付き合ってようが、無かろうが、きっと意味なんて無いんだ。



「ああ、良いけど板倉も一緒だから。」

「………………へえ、珍しいね。」

「そうか?友達なんだから当たり前だろ。」



確かに、浅野は板倉と仲が良い。
俺もそれなりに話すし、一緒に居てもおかしく無い……けど、漠然とした違和感を感じる。



……ああ、いつもは俺と浅野、2人で行動してたっけ。



一度気が付けば、様々な事に違和感を感じてしまう。
登下校が別々になったとか、メールや電話の回数が減ったとか……2人で過ごす時間が殆ど無い……とか。
決して不仲になった訳じゃない……ただ、何かがおかしい。
毎日会って話すのに、日を追う毎に違和感は増すばかり……原因は、分からない。



11.0429
 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -