▼ 浮気×冷静


「浅野、今日の帰り、カラオケ行かない?」

「ああ、良いよ。カラオケなら板倉達も誘うか。」

「……何で?俺は、2人が良い。」

「何でって、カラオケは多人数の方が盛り上がるだろ。」

「今までは2人だったじゃん。」

「『今までは』な。だけど今は違う。俺は多人数の方が良い。」

「今は違う?何が?何が今までと違うの?」



浅野の言葉が理解できない。
浅野も俺も、何1つ変わっていないのに、何が違うって言うの?



「俺達はもう『恋人』じゃない。」

「…………それが、何?」



そんな事分かってる。
浅野が別れようと言ったから別れた。
今まで通り会って話して、そうする事ができれば、恋人同士で居る必要はない。
そう思ったから別れを承諾したのに、浅野は違うって言うの?



「俺が深坂と2人きりで過ごしたのは、深坂が俺の恋人で、特別だったから。」

「特……別……?」

「そうだ。深坂が好きで、深坂と少しでも多くの時間を共有したい。そう思ったから深坂を優先して来た。けど今は違う。友達になったお前を優先させる事はできない。友達に順位は付けられないからな。」

「順位……」



浅野の話しは、俺が思う好きと似ている。
順位は付けられない……俺は板倉と、そこ等辺に居る奴等全員と……同じ位置に居るんだ。



「そんなの……嫌だ。」



「…………何が?」

「俺は、浅野と2人きりで過ごしたい。今までずっとそうして来ただろ?俺はあの時間が好きで、大切だった。」

「だからそれは…………」

「俺は浅野の『特別』が欲しい!」

「……俺は、セックスどころか、女と2人きりで会う事も浮気と考える。」

「……それで良い。今度から、浅野が浮気と思う事はしない。」

「……俺にとって、恋人同士になる事は大きな意味がある。友愛に順位は付けられない……けど、恋愛は別。恋人が『1番』大切で愛おしい。」

「……俺は、浅野の特別……1番になりたい。電話もメールも沢山したい。カラオケも登下校も、2人が良い。そんな事、浅野にしか望まない。それって、浅野が俺の1番で特別だからでしょ?」

「………………深坂、お前は鈍い。ノンケのお前が、男の俺にあんな事、そんな事できる時点で特別以外何がある。」

「え、じゃあ何でわざわざこんな事……」

「ムカついたから。」

「っ!!」

「俺の事好きなクセに、浮気はするし、挙げ句、価値観の違い。とか言いやがる。付き合う意味が分かりませーんって態度も気に入らなかった。」

「そんな事、今まで1度も言わなかったじゃん!!」

「本人に自覚が無きゃ言っても無駄だろ?だいたい、女に勃つのは自然だ。不細工相手でも裸見りゃ反応くらいする。けどな、男に……俺みたいな平凡相手に勃つ時点で特別だって気付け、馬鹿。」

「…………ごめん。」

「……それで、付き合う事の意味、分かったか?」

「……浅野の特別になれる。それが付き合う意味。」

「………………まあ、合格だ。」



この時の笑顔は、俺だけに向けられたもの。
そう思うと、特別である事が嬉しくて、付き合う事の重要性に、身をもって気付く事ができた。



友愛と恋愛は別。
その中で、恋愛の浅野をランク付けしようなんて無理な話しだ。
こんなにも答えは単純なのに、気付く事ができない俺は、本当に鈍感だと思う。
けど、今ならハッキリと言える。



浅野は俺の特別で、世界で『1番』好きな人!!



END


11.0429
12.0112 修正
補足:浅野は多分、バイ←
 
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