▼ わんこ×無関心


――ポチ、今日の合コン来いよ。

――合コン?俺は行かないよー、放課後はタマちゃんと過ごすの。

――んだよ、たまには合コンでも参加してタマにヤキモチ妬かせろよ。

――ヤキモチ?

――そ、上手くいけばタマが沢山構ってくれるかもしれないぞ?



タマちゃんが……沢山……



――――――――――



「タマちゃん!タマちゃん!俺、今日の放課後は満達と合コン行って来る!」

「ポチが……合コン?」

「うん!!」



俺は今、大好きなタマちゃんに『ポチは合コン行っちゃうぞ☆妬いて構って抱きしめて!作戦』を決行中である。
タマちゃんって言うのは、俺の大切な人で……今はまだお友達だけど、将来は俺のお嫁さんになる人!!
あ、でもタマちゃんは身長188?くらいあったから、俺がお嫁さんかも!!
俺は身長175cmだし。
とにかく、タマちゃんがずっと一緒なら何でも良い。
俺は皆から犬みたいって言われるから、あだ名がポチになった。
ポチって呼ばれるのは嫌じゃないし、どうせならタマちゃんとセットみたいにしたいって事でタマちゃんはタマちゃんになった。
俺達は、あだ名もラブラブ。
だけどタマちゃんは少し……いや、かなりの無関心ちゃんだから、俺は構ってもらおうと必死なのです。



「あのね、合コンって女の子がいっぱい来てね、お菓子食べるの!で、満がポチならすぐに人気者でモッテモテになれるよって言ってた!」

「お菓子って…………まぁ、良いか。確かにポチならモテモテだろうな。顔は整ってる訳だし。」

「でしょ?女の子が沢山居ると、俺が取られちゃうよ?タマちゃんピンチだよピンチ!」



だからね、『駄目!行くな!』って言ってよタマちゃん。
そしたら絶対、絶対行かないから。



「ふーん、楽しんで来いよ。」

「…………………………え?」

「ポチが居ないなら久しぶりに本屋寄って帰るか。」

「……タマちゃん……駄目って言わないの?」

「駄目?……なんで?」

「……だ、だって女の子沢山で、取られちゃうんだよ?」

「良い事だろ、それは。」

「っ……!!」



タマちゃんは……俺が女の子に取られても、気にならないんだ……



放課後の計画を、普段より楽しそうに立てるタマちゃんを見て、『満の嘘吐き、後で噛み付いてやる!!』と、心の中で呟きながら少しだけ泣きたくなった。



――――――――――



「タマちゃん……俺も帰る。」

「は……?合コンは?」

「……女の子が不細工だから止めた。」

「不細工って…………まだ会ってないだろ。」

「……満、ブス専だもん!!」

「……お前なあ……」



タマちゃんが呆れたのが分かった。
放課後の計画が駄目になって、残念がっている事も…………
だけど、行きたくないものは仕方がない。
女の子が不細工かは正直分からないけれど、最初から行く気もなかったし、妬いてもらえないなら、尚更行く意味など無い。



「帰る。タマちゃんと一緒に帰る。……本屋も静かにするから大丈夫……」



だから、一緒に帰ろ?
俺は女の子より、満より、タマちゃんが良い。



「ポチ、満に何て言われたかは……だいたい想像がつく。でもな、それ、無意味だから。」

「っ!!……た、タマちゃんは……俺の事、嫌い?必要ないの?……だから、合コン行っても気にならない?」



無意味……タマちゃんは、きっと全部気付いてるんだ……



そう思ったら、『無意味』と言う言葉が酷く重たく感じた。



「………………ごめんなさい。」



構って欲しかっただけなんだ。
タマちゃんの気を引きたかったんだ……
馬鹿な事考えてごめんなさい。
満を信じてごめんなさい。
お願いだから、捨てないで……



「ポチ、お前は忠犬だから、俺を好きなの丸分かりなんだよ。……あんな構ってオーラ全開でヤキモチ妬かせようなんて、無理な話しだろ。んな捨てられた子犬みたいになるなよ。ホラ、一緒に帰るんだろ?」

「……っう、うん!!帰る!!」



ヤキモチを妬いてくれないのは、関心が無いからじゃ無くて、俺の愛がタマちゃんに届いてるからなんだよ。って事らしい。
それはそれで、最高に嬉しいじゃないか!!



俺は先程までとは打って変わり、嬉々としてタマちゃんの後を追った。



そして忠犬ポチ公は、今日もタマちゃんに全力で愛を捧げます。
この先もずっと、ずっとずっと一緒に居られますように……



END



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