▼ 同級生 ※color登場人物


飲み物でも買おうかと自販機の前を陣取って居た時、中庭を挟んで反対側の校舎に教材を抱えてフラフラ歩く灰田を見つけた。
積み重なったテキストやらプリントやらで、前が見えているのかも怪しい。
フラフラフラフラ、今にもバラまき転びそうな姿に自然と眉が寄る。
決して奴が非力な訳じゃない。
あれは誰でもフラつく重さだろう。
かと言って、ノロノロ歩く灰田を追いかけ、手伝ってやる気は毛頭無い。
仮に助けた所で、突っぱねられて終わりだ。

あいつは俺が嫌いだからな。

それにしても、あいつなら教師の前ではにこやかに仕事を引き受け、後は適当に捕まえた生徒へ押し付けるくらいしそうなもんなのに…………
変に素直なあいつが面白い。



――――ピッ



そんな事を考えていると、余所見をしながらボタンを押してしまった。



「…………緑茶」



ガコンッ、と落ちて来たのは冷たい緑茶で、苺牛乳を求めていた俺にはものすごく要らない。



「…………まぁいいか。」



小さく溜め息を吐くと、俺は教室に戻った。







『お疲れ』



一言だけ書いたメモと、間違えて買った緑茶を灰田の机に置く。
頭の良いあいつは、これだけで意味を理解するだろう。
そして俺は、その場を離れた。
あいつに見つかると、絡まれて面倒だからな。



――――それから数十分



再び教室に戻ると、俺の机に空き缶と『余計な事をするな』と書かれたメモが乗っていて、思わず笑ってしまった。



END



12.0605
 
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