▼ 美形攻め×平凡攻め
「この間の小テストを返却する。」
この日最後の授業、数学教師は教室に入って来るなり淡々と告げた。
周囲は途端に騒がしくなり、皆一様に頭を抱える。
そんな中、俺は1人の男をキツく睨みつけた。
アイツにだけは、絶対に負けねぇ!
『次、原西。』俺はピリピリとした空気を纏い、テストを受け取った。
結果は――――満点。
『しゃっ!』瞬間的に小さなガッツポーズをすると、テストを受け取り終わった男の元へ歩み寄る。
「ん、満点。俺の勝ちだな。」
自信たっぷりに答案を突き付けた俺に対し、男はニッコリと微笑んだ。
「残念、俺も満点だ。」
――――――――――
放課後、俺は男……兵藤と並んで家路を辿る。
空気が少しだけ重いのは¨今回も¨勝敗が着かなかったから。
「原西、そろそろ諦めろや。」
「ざけんな。お前が諦めろ。」
兵藤の言葉を皮切りに、バチバチと睨み合う俺達。
もう何十と繰り返した遣り取りだが、お互い、一歩も引けない訳がある……それは、
「諦めるわきゃねぇだろ!諦めたらお前にケツ掘られるんだぞ!?」
「黙れ!俺だって諦めたら、お前にケツ掘られるじゃねぇか!!」
そう……俺達は曲がりなりにも恋人同士であり、テストの勝敗で賭けたモノは己の¨処女¨。
タチとタチの譲れぬ闘いなのだ!!
「つぅか原西、平凡な容姿でテストは満点とか似合わねぇんだよ!平凡は平凡らしく50点代マークしとけや!!」
「んだとこら!!兵藤こそ女々しい外見で俺様キャラとか腹立たしいんじゃボケ!!」
「ああ゛?俺の何処が女々しいんだ言ってみろ不細工!!」
「色白で細長い体型と中性的な顔面が女々しいんだよ!!サラサラな髪しやがってからに禿げろっ!!」
「お前こそ色白で細ぇだろ!!その上、チビで不細工と四重苦。そんな男に組み敷かれるイケメンの図とか想像できるかド阿呆!!お前は大人しく股開いて喘いでりゃ良いんだよ!!多少は色気出んだろ!!」
「自分でイケメン発言うざ死ね!!それと1つ言っておく、俺は不細工じゃねぇ!!容姿に関しては平凡だ!!お前こそ女々しい外見してんだから、潔くケツを差し出せ!!」
激しい言い合いでハァハァ息を乱しながらも、睨む事は止めない。
俺は兵藤の言う通り、平凡な容姿に似合わず成績はトップクラス。
対する兵藤も、外見に劣る事のない、優秀な頭脳を持っている。
そんな俺達はテストで連続100点記録を伸ばす一方、恋人としての一線は越えられずに居た。
「チッ……お前はどれだけ俺を焦らせば気が済むんだ。」
「っせぇな……お互い様だろ。」
グイッと力強く右手を繋がれ、俺も負けじと握り返す。
「明日、英語が小テストだとよ。」
「ふん、今度こそ俺が勝つ。」
「上等だ、平凡。後でアンアン鳴かせてやるから覚悟しとけ。」
「そりゃこっちの台詞だバ−カ。」
恐らく、今度も引き分けて終わる。
そうすれば、俺達の関係に発展は無いが、妥協する気も無い。
この先どんなに長引こうが、コイツ以外は有り得ない。
それは多分コイツも同じで、だからこそムキになる。
……正直、我慢はツラい。
けどな、お前の初めて奪えたら、俺の初めても捧げてやる!とか思ってんだ。
「……マジ健気だわ俺。」
『あ゛?』と眉間に皺寄せる恋人をド突きつつ、俺は家に着いてからの勉強計画を必死に立てた。
何だかんだ言ったって、結局は健全な高校男子、一刻も早い決着を望むのは………………まぁ、当然だろ?
END
12.0511
攻め×攻めが書きたくて〜
ついでにカフェオレ様wwを意識したけど、無理でした!!(*_*)
口汚く罵り合っても、根底は深い愛で結ばれた喧嘩っぷる?です(笑)
それにしても会話が下品←